海外だより
川崎から世界へ
香港国際競走では日本調教馬は無冠に終わり、今年は日本馬による海外G1は未勝利に終わったようです。残念ですが、競馬は甘いものじゃありません。まぁ存在感は世界のホースマンの脳裏にクッキリ刻み込みましたし、毎年、連綿と続いていくのが競馬です。来年に希望を持ち越すことにしましょう。先日、川崎競馬場で行われたJpn1全日本2歳優駿は、牝馬のミリアッドラヴが見事なロングスパートを決めて、強豪ぞろいの牡馬陣をねじ伏せました。来年が楽しみです。よく知られているように、昨年の王者フォーエバーヤングは、ここ川崎を出世双六(すごろく)の振り出しに、サウジCからドバイのUAEダービーと次々に関門を突破し、遂に世界の頂上ケンタッキーダービーでハナ+ハナの死闘を繰り広げるまでに成長しています。ミリアッドラヴの新谷功一調教師は、彼女の次走をフォーエバー同様にサウジダービーに的を絞っているようです。〝川崎から世界へ〟が日本のホースマンにとっての合い言葉になりつつあるのでしょうか。
もともと全日本2歳優駿は、歴史的にも世界へのジャンピングボードとして大きな役割を果たしてきました。まだG2時代だった97年の王者アグネスワールドは、国内では惜しいところで国内G1を取り逃していましたが、苦手のカーブのない直線レースには強く、フランスとイギリスでG1レースを制覇しました。スプリントのレベルが低いとされる日本馬には考えられない大偉業でした。99年に2歳チャンピオンに君臨したアグネスデジタルも凄まじかったですね。地方・中央を問わず芝でもダートでもG1を勝ちまくり、果ては香港Cで海外G1も制覇しました。〝二刀流〟という言葉では語り尽くせない能力です。この伝統というか、継ぎ伝えられて来た遺伝子は、川崎が誇る今ひとつのG1レースにも流れているようです。
川崎を旅立ちの地とした馬にはホクトベガが忘れられません。ご存じのようにエリザベス女王杯を快勝した一流馬でしたが、明け6歳の1月に川崎記念からダートグレイド路線に舵を切って破竹の7連勝と国内無敵を誇り、明け7歳を迎えた97年の川崎記念を壮行レースに世界進出を果たすべく横山典弘騎手とともにドバイへと旅立ちます。ドバイでは前走でジャパンCをハナ差勝ちしていたシングスピールに雪辱を誓いますが、競走中止で帰らぬ旅路と悲しい幕切れになってしまいます。しかし〝川崎から世界へ〟の合い言葉は生き続けていました。ホクトベガの志を受け継ぐように、ホッコータルマエは川崎記念を3連勝して3度ドバイへ渡りますが、15年の5着が最高と残念な結果に終わりました。21年に2着と20年前にトゥザヴィクトリーが刻み込んだ日本馬最高着順に並んだチュウワウィザードは、翌年に川崎記念を勝ってドバイに再チャレンジしますが3着に惜敗します。しかしホクトベガの夢まで、もう一歩のところまで辿り着いたようにも感じられます。そしてホクトベガから26年後、ウシュバテソーロが川崎記念をステップに日本ホースマン宿願のドバイワールドCを制覇します。〝川崎の誓い〟が遂に実を結んだ瞬間でした。想いは繋がるものです。どこに世界への道が開けているか分かりません。今週の朝日杯フューチュリティSから中山競馬場を舞台とする有馬記念、ホープフルSと見逃せないビッグレースが続きます。どうぞ目を凝らして、耳を澄まして、心を傾けて楽しみたいと思っています。
もともと全日本2歳優駿は、歴史的にも世界へのジャンピングボードとして大きな役割を果たしてきました。まだG2時代だった97年の王者アグネスワールドは、国内では惜しいところで国内G1を取り逃していましたが、苦手のカーブのない直線レースには強く、フランスとイギリスでG1レースを制覇しました。スプリントのレベルが低いとされる日本馬には考えられない大偉業でした。99年に2歳チャンピオンに君臨したアグネスデジタルも凄まじかったですね。地方・中央を問わず芝でもダートでもG1を勝ちまくり、果ては香港Cで海外G1も制覇しました。〝二刀流〟という言葉では語り尽くせない能力です。この伝統というか、継ぎ伝えられて来た遺伝子は、川崎が誇る今ひとつのG1レースにも流れているようです。
川崎を旅立ちの地とした馬にはホクトベガが忘れられません。ご存じのようにエリザベス女王杯を快勝した一流馬でしたが、明け6歳の1月に川崎記念からダートグレイド路線に舵を切って破竹の7連勝と国内無敵を誇り、明け7歳を迎えた97年の川崎記念を壮行レースに世界進出を果たすべく横山典弘騎手とともにドバイへと旅立ちます。ドバイでは前走でジャパンCをハナ差勝ちしていたシングスピールに雪辱を誓いますが、競走中止で帰らぬ旅路と悲しい幕切れになってしまいます。しかし〝川崎から世界へ〟の合い言葉は生き続けていました。ホクトベガの志を受け継ぐように、ホッコータルマエは川崎記念を3連勝して3度ドバイへ渡りますが、15年の5着が最高と残念な結果に終わりました。21年に2着と20年前にトゥザヴィクトリーが刻み込んだ日本馬最高着順に並んだチュウワウィザードは、翌年に川崎記念を勝ってドバイに再チャレンジしますが3着に惜敗します。しかしホクトベガの夢まで、もう一歩のところまで辿り着いたようにも感じられます。そしてホクトベガから26年後、ウシュバテソーロが川崎記念をステップに日本ホースマン宿願のドバイワールドCを制覇します。〝川崎の誓い〟が遂に実を結んだ瞬間でした。想いは繋がるものです。どこに世界への道が開けているか分かりません。今週の朝日杯フューチュリティSから中山競馬場を舞台とする有馬記念、ホープフルSと見逃せないビッグレースが続きます。どうぞ目を凝らして、耳を澄まして、心を傾けて楽しみたいと思っています。