海外だより

彗星続々!クラシック戦線

イギリスのダービー&オークスに向けたトライアルシリーズが、ヨーク競馬場を舞台にした一昨夜のG3ムシドラS、昨夜のG2ダンテSでクライマックスを迎えました。ともに歴史のある名物前哨戦で本番に頭抜けた実績を残していることで有名です。昨日のダンテSには、ハーツクライ産駒のコンティニュアスが参戦し、ゴール前で抜け出すところで差し込まれ3着同着に敗れています。デビューから2戦2勝の負け知らずで前走はフランスのG3トーマスブリヨン賞を快勝しており、期待も大きかっただけに残念でした。コンティニュアスは7カ月半ぶりの今季初戦だったのに対し、先着馬はいずれも順調に使われて来ていた差が出た感じです。先頭に抜け出そうとしてところへ、内外大きく離れて他馬の陰で死角となった勝ち馬に出し抜けを食った展開の不利も痛かったです。この敗戦でエプソムダービーは断念して、シャンティイの仏ダービーへ向かうのでしょうが、ディープインパクトのスタディオブマンが勝った縁起レースであり、巻き返しにエールを送りたいですね。

ダービーの詳細は来週のお楽しみに取っておくとして、オークスが面白くなりました。一昨夜のG3ムシドラSで最低人気のソウルシスターというフランケル産駒が、素晴らしい瞬発力を爆発させて一瞬に4馬身突き抜け、一躍オークスのヒロイン有力候補に下剋上を果たしました。ムシドラSは一昨年の勝ち馬スノーフォール(父ディープインパクト)が本番で16馬身差の歴史的大差で凱歌を上げており、昨年のエミリーアップジョンも2着したヒロインの宝庫です。既に年内限りで引退が決まっており、今年が最後のクラシックとなるランフランコ・デットーリ騎手の気合いの入り方も一段と高まっています。

彗星のように現れたソウルシスターに立ち塞がるのがセーブラストダンスという名門エイダン・オブライエン厩舎のガリレオ産駒です。1週間ほど前にチェスター競馬場で行われたLチェシーオークスで、短い直線だけで後続を22馬身ちぎる“神パフォーマンス”を発揮、「怪物現わる!」とヨーロッパ中を驚嘆させました。このレースもリステッドと言え、過去に凱旋門賞連覇の女傑エネイブルを輩出した格式の高さを誇っています。ジョン・ゴスデン厩舎とエイダン・オブライエン厩舎の英愛超名門の宿敵同士が、不思議な糸に導かれて激突する大一番は見逃せません。またこの新星2強に続いてランニングライオンが支持を集めていますが、1世代だけを残して急逝した名馬ロアリングライオンの忘れ形見ですね。ディープが生んだクラシック馬サクソンウォリアーの宿敵で、クラシックは惜敗しましたが、秋に本格化してG1を4連勝して年度代表馬に輝いています。ダービーにもドバイマイルという馬を送り込んでいますから、何とか血が繋がるような結果を出してくれたらと祈る気持ちです。今年のヨーロピアンクラシックは今年も見どころ満載!いよいよクライマックスです。

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