海外だより

たまには馬券ナシ観戦も

ドバイワールドカップデーの合計8レースの総賞金2950万ドル≒39億円超と肩を並べて6レース総計2850万ドル≒38億円余とピタリと肩を並べて世界一を競うサウジカップデーが、今年も華やかに一大ページェントの幕を開けます。日本での馬券発売がないのは残念ですが、そのスケールの壮大さやレース品質は年々グレードアップしており、賞金額だけが突出して目立つ“キワモノ”感だけではない、“ホンモン”の手応えが伝わってくるようです。総賞金2000万ドル≒27億円と超豪華版のメインレース・サウジカップの豪華絢爛ぶりが著しいのは無論ですが、サブプログラム群も目に見えて充実へのステップを駆け上がっています。さらに見落としてはならないのが、周辺諸国を巻き込んでの中東競馬圏全体の底上げがグングン進んでいることです。ドバイやサウジに負けない勢いで伸びているのがカタールです。「パート1国」と競馬最先進国に位置付けられるドバイ、「パート2国」で成長力最盛国の勢いが凄まじいサウジアラビア、これらに比べるとカタールは「パート3国」ですから発展途上国の趣きですが、ノビシロは一番でしょうね。先般のサッカーのワールドカップを機に、ひときわ勢いが増して来ました。先週ドーハで開かれた国際レースには、クールモアなどヨーロッパからも有力馬が出走しており、今後も目が離せません。

さてサウジカップデーには、総勢20頭を超える日本調教馬が大挙参戦します。注目はやはり、精鋭6頭が参加するメインのサウジカップでしょう。これまで日本馬は第1回のゴールドドリーム、昨年の第3回のマルシャロレーヌがともに6着で、これが最高着順。掲示板に少し届かない現状です。勝ち時計はいずれも1分50秒前後で、取り立てて速いわけではありませんが、目には見えない体感スピードは経験のない領域に達しているのかもしれません。ちなみにダート1800mのレコードタイムは、中山では40年前、阪神では19年前に樹立された、ともに1分48秒5が今も健在です。開催レース数も多い中央場所で、それなりの実力馬たちが出走しての記録ですから、ここらあたりが日本のダートホースの時計面から見た近年におけるマックス能力と考えて良いでしょう。大ざっぱな観察ですが、サウジカップに出走してくるアメリカのトップホースは、9ハロンという微妙な距離設定も影響して、スピード身上のマイラータイプが多いこともありますが、おおむね日本レコードと前後する似たようなタイムを持ち時計にしています。スピードだけなら、ここらが一つの壁になっているようにも思えます。ここを突き破らないと、世界が見えてこないのかもしれません。

チーム・ジャパンの今回のテーマは、芝のスピードをダートでクラシック馬ジオグリフ、G1馬パンサラッサ、ヴァンドギャルドもジュンライトボルトは芝で出世の階段を登って来た未知の魅力が不気味です。カフェファラオはG1フェブラリーS3連覇とサウジを天秤にかけてフェブラリーでは良馬場と重馬場それぞれのレースレコードを叩き出している快速馬、父アメリカンファラオの名声を高めるのは、世界にこの馬以外にいないでしょう。クラウンプライドは先行馬壊滅し最低人気馬が後方から追い込んで大波乱となったケンタッキーダービーを破滅的な猛スピードで引っ張って最後は馬群に沈みましたが、“日の丸特攻隊”ぶりが頼もしく感じられます。馬券なしでも、競馬の醍醐味を存分に堪能させてくれるはずです。

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