海外だより

“ビッグスリー”直接対決が実現

3年ぶりに賑やかな春節を迎える香港では、人々の浮き立つ気持ちを一層華やかに盛り上げるように、“史上最大”のビッグレースが準備されています。現在の香港競馬を支える“ビッグスリー”がこぞって出走するG1香港スチュワーズCが、春節明けの29日にシャティン競馬場の1600mを舞台に行われます。“ビッグスリー”とは、“香港の英雄”として君臨する16連勝を含む26戦22勝の絶対王者ゴールデンシックスティを筆頭に、昨シーズンからの台頭が著しい“若きヒーローたち”ロマンチックウォリアーとカリフォルニアスパングルがその馬です。

カリフォルニアスパングルは、クールモアが所有するスタースパングルドバナーの血を引くアイルランド生産馬で、父のスピードと母父ハイシャパラルのスタミナを融合させた典型的なヨーロッパ血統です。ゴールデンシックスティの胸を借りながら、挑戦しては跳ね返されながら力をつけて、前走のG1香港マイルでは遂に絶対王者の厚い壁を打ち破りました。一緒に走ったダノンスコーピオンが6着、シュネルマイスターが最下位9着に大敗したレースと言えば、勝ち負けをクビ差で争った2頭のハイレベルな強さがお分かりいただけるでしょう。一方のロマンチックウォリアーは、生まれは同じアイルランドですが、日本でも注目が高まるダークエンジェルなどを輩出するヨーロッパのスプリント血統の頂上をアクラクラメーションを父と仰ぎます。しかしこの馬は異色中の異色で、天才的なレース運びの巧みさを武器に距離の壁を次々と乗り越えて来ました。

「香港4歳三冠」シリーズで初距離となった1800mの香港クラシックC4着と不覚を取ったのが唯一の敗戦です。でも、距離に限界があったのかと思えば、次走の香港ダービーを皮切りに古馬相手のクイーンエリザベス2世C、最高峰レースの香港Cと2000m戦を4連勝していますから、もはや中長距離チャンピオンのベルトを捧げて良い存在です。とくに香港Cでは、日本馬ダノンザキッド以下を4馬身半ちぎり捨てて王者の風格を見せつけました。今季はスチュワーズC1600mから香港ゴールドC2000m、そして香港チャンピオンズ&チャターC2400mの「香港三冠」にチャレンジすると伝えられます。初距離となる2400mも課題ですが、最大の障壁はマイル戦に特別な才能と強みを誇るゴールデンシックスティとカリフォルニアスパングルの両雄が迎え撃つ今回のスチュワーズCということになりそうです。これら“ビッグスリー”の動向を引き続き追跡していきます。

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