海外だより

世界一早い“G1初日の出”

あけましておめでとうございます。
ご愛読いただいてきた海外競馬情報は、今回から装いも新たに出発します。気がついてみれば、このコラムがスタートして、もう10年以上も経つんですね。あっという間でしたが、競馬は随分と変わりました。当時はまだ珍しかった海外遠征も、国内で小倉や札幌などへ移動するのと変わらない感覚でチャレンジするのが当たり前の時代になりました。行き先やレースカテゴリーもどんどん多様化しています。そもそもJRA窓口で海外馬券が買えるなんて10年前には考えてもみませんでした。そういう意味では、発信される情報の質と量も含めて、ファンサービスは格段に進歩しています。これからは、この10年の移り変わりを遥かに上回る猛烈なスピードで、ファンや関係者の想像を超える劇的な変化が矢継ぎ早に起きていきます。そうした変化に追い越されないよう心機一転、気を引き締めての“新装オープン”です。どうぞごひいき賜れば嬉しいです。

「競馬開き」だった昨日の中京競馬場では、レース開始前にコロナ禍で3年ぶりとなる「鏡開き」が行われました。日本騎手クラブを代表して福永祐一副会長が「昨年の有馬記念に騎乗して、大観衆で埋め尽くされたスタンドを見て、久しぶりに胸が高鳴りました。やはり日本の競馬はたくさんのお客さんがいてこそ成り立つものだと改めて感じました。我々ジョッキー一同、素晴らしいレースを提供できるよう、一つでも頑張ってまいります」という挨拶は胸に沁みました。ここが、すべての原点だと思いました。

さて「鏡開き」があれば、「G1開き」なんてイベントがあってもワクワクさせられます。北半球はヨーロッパなどシーズンオフの国も多く、日本では2月下旬のフェブラリーSが初G1という番組編成になっています。一方、南半球の1月は来るべき秋シーズンに備えて一服の夏休み中という国が多いのですが、ありがたいことにニュージーランドでは元旦早々から盛大にビッグレースを並べてくれています。近年は1月1日の“G1初日の出”と定着しているのが、“ニュージーランドのケンタッキー”の愛称で親しまれる馬産地ハミルトンにあるテラパ競馬場で開催されるワンターンの1200m戦レイルウェイSです。今年はオセアニアのリーディングサイアーに輝いた売り出し中のアイアムインヴィンシブル産駒インペラトリスと日本人ジョッキー浅野一哉さん騎乗のバビロンベルリンの一騎打ちになりました。浅野さんは騎乗機会8連勝を記録したこともある新進気鋭の腕達者で、世界で一番早いG1レースで遂にG1初勝利の大金星かと思わせたのですが、気の良い馬でわずかに仕掛けが早かったのかゴールラインでアタマだけ掴まりました。惜しかったです。しかし、いずれチャンスは巡ってくるはずです。頑張ってくれるでしょう。今後は、海外馬券発売レースに限らず、世界各地に散って競馬に打ち込んでいるホースマンたちの近況なども含めてお伝えできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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