ゲスト
小林 美駒騎手

01. みんなに守ってもらっている。これって、当たり前のことではないので、本当に感謝しています。

みんなに守ってもらっている。これって、当たり前のことではないので、本当に感謝しています。
細江純子さんをインタビュアーに迎えてお届けする『イケメンホースたち〜担当者が思う愛馬の素顔〜』。今回のゲストは、小林美駒騎手です。2023年3月に騎手デビュー。初年は10勝、2年目19勝、3年目の2025年は9月8日時点で32勝と大活躍の小林美駒騎手に、デビューから現在までの心境の変化などを中心にお話を伺いました。

北海道滞在で大活躍

細江小林美駒騎手は、今年の夏は北海道に滞在して大活躍していますね。

小林おかげさまで、毎日充実した楽しい滞在になっています。

細江6月までの上半期で18勝、8月までに32勝(※)と前年の19勝を超えました。
※小林美駒騎手は9月7日の札幌8Rを制し、今年28勝目(JRA通算61勝目)を挙げた。札幌開催は10勝目。函館からの北海道開催20勝目となる(9月8日現在)

小林今年は北海道開催で騎乗すると決めて、滞在しています。関東馬だけでなく関西馬の騎乗依頼もいただいていますし、その中で結果が出せていることは自信につながっていますね。

細江関西馬の場合、初めての騎乗となることも多いですよね?

小林そういう時は、できるだけ調教に乗って感触を確かめるようにしています。それと、レース動画ですね。その馬のこれまでのレースを見て、あとは以前、乗っていた騎手に癖などを教えてもらっています。そこから、自分の騎乗スタイルなら、どうするかと考えています。

細江関西馬の前走騎乗した騎手に話を聞けるのは滞在のいいところですね。

小林はい。それに、滞在では自分で馬を作っていくこともできます。その中で、性格などもつかみやすいですね。

細江そういう馬で勝った時の喜びは大きいですよね。

小林調教のスタイルがハマったのかなと考えると、うれしいですね。

馬の気持ちをくみ取るのも騎手の役目

細江朝は調教で、午後はどうしているんですか?

小林厩舎に追い切りが終わったあとの状態の確認にうかがっています。出馬が決まってからは、「今週、よろしくお願いします」とご挨拶にもうかがいます。

細江ここまでの滞在で、印象に残っているレースは?

小林どれも思い入れがありますが、8月16日の札幌4Rを勝ったワタシマツワ(※)は、函館開催から1戦ごとに着順を上げていってくれました。コンスタントに使ってきていましたから、だんだんと馬も苦しくなっていったと思うんです。そんな中で、一番カッコイイ勝ち方をしてくれました。
※2馬身半差で逃げ切り勝ち。

細江小林美駒騎手の“逃げ”というイメージが定着してきたと思いますが自分なりのコツをつかんだ?

小林スタートを実際に切って走るのは馬なので、ゲート内で騎手ができることをしようと思っています。駐立に気をつけて、スタートしての1歩目はハミを当てないように気をつけています。それから、狭いゲートに入って緊張もするでしょうし、これから走ると考えてドキドキしているんじゃないかなと。その気持ちを少しでもくみ取ってあげるのも、騎手の役目ですよね。

細江ワタシマツワはスタートは上手そうですね?

小林スタートセンスはいいし、真面目で素直な性格です。めちゃくちゃ、カワイイ子です。

細江逃げはペース配分も重要となってきますが、そのあたりをどう感じながら乗っているのかな?

小林二の脚を使うためにも、馬の邪魔をしないように気をつけています。出し過ぎると掛かってしまう馬もいるので、その場合は最初の脚を使い過ぎないように。逆に悠長にしているとバテてしまう馬もいるので、そのあたりは馬によりますね。レースが始まったら、手綱を握る拳で馬のエネルギーを感じ取れるようにですね。

細江肌で馬の余力を計る?

小林難しいんですけど、人間でもズッとハイペースでは走れないですよね。だから、どこで息を入れるかが大事なので。

気持ちに余裕が出てきた?

細江今年でデビュー3年目です。気持ちに余裕も出てきましたか?

小林1年目と2年目より、3年目になって周りを見るという点では違ってきたと思っています。

細江デビューしてから一番つらかったのは、昨年の落馬で怪我(※)をしてのお休みだったと思うんですが?
※小林美駒騎手は2024年6月23日の12Rで左肩を負傷した。

小林そうですね。昨年は「ついてないな~」という1年でした。休んでいる間は競馬を見ていると、もどかしさや悔しさを感じましたね。でも、治り切っていない状態で復帰しても迷惑をかけるだけですし…。

細江復帰したくて焦っちゃいますけど、そこは我慢と。

小林はい。厩舎の先輩の(横山)武史さんは、「休んでいる期間に4kg減がなくなるわけじゃないから、これで騎乗依頼がこなくなることはない」と、焦らないように声をかけてくれました。その言葉は心強かったですね。

細江たしかに、女性騎手は4Kg減からのスタートですし、永遠に2Kg減という制度もいいですよね。

小林ありがたいですね。だからこそ、斤量の差を生かした騎乗をしたいと思っています。

細江いま、美駒ちゃんが課題としていることは?

小林レイチェル・キング騎手や、ホーリー・ドイル騎手の安定感には及ばないと感じています。それでも、自分なりに下半身がハマってきたという感触はあるので、もっともっと力強く追えるように勉強しないとと思っています。

細江海外からくる女性騎手は、いい刺激になっているんですね。

小林はい。馬をちゃんと御して乗りこなしていますよね。体幹も良くて、馬のギアを上げて行くときの下半身の安定感が素晴らしいです。

みんなに守ってもらっている

細江体幹を鍛えるトレーニングはしているんですか?

小林週に2、3日、トレーナーさんのところに通っています。武史さんが紹介してくださったんですが、動画を送ると、そのフィードバックもいただけます。

細江馬乗りは正解がないから、アドバイスしてくれる人がいるのは心強いですね。

小林その時々での課題をピックアップしてくれるので、トレーナーさんの存在は大きいです。

細江さらに、美駒ちゃんには頼りになる先輩もいるし。

小林はい。武史さんは厩舎実習の時から、いろいろとアドバイスをくれて、競馬学校の模擬レースにもきてくれました。今も相談すると、たくさんのことを教えてくれます。あれだけの騎乗があるのに、私のことまで支えてくださるんですよ。

細江津村(明秀)騎手も、面倒見のいいタイプだし。

小林ほんと、そうです。津村さんって、怒ることがあるのかな?というぐらい、穏やかな人ですね。安心できる兄弟子です。私が勝った時は、「おめでとう」と連絡をくれます。わたしも、津村さんが新潟2歳Sを勝ったときは、お祝いの電話をしたり。

細江暖かい先輩ですね。

小林津村さんも武史さんも騎乗のアドバイスをくださるし、鈴木伸尋先生も素晴らしい方です。みんなに守ってもらっているんですよね。これって、当たり前のことではないので、本当に感謝しています。

(構成:スポーツ報知 志賀浩子)

細江 純子
1975年愛知県蒲郡出身。1996年JRA初の女性騎手としてデビュー。2,000年日本人女性騎手として初の海外勝利(シンガポール)。2001年引退。引退後はホースコラボレーターとしてフジテレビ『みんなのKEIBA』関西テレビ『競馬BEAT』に出演。夕刊フジ・アサヒ芸能などにコラムを連載中。書籍は『ホソジュンのステッキなお話』文芸ポストでの短編小説『ストレイチャイルド』。

※この記事は 2025年9月15日 に公開されました。

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