02. 春の東京競馬場を美しく彩る「ローズガーデン」の魅力
やっぱり日本ダービーをやる東京競馬場はバラに縁(ゆかり)があるということで
梅田今回この5月の開催で、やはり見どころのひとつはGⅠレースはもちろんのこと、「ローズガーデン」もそのひとつだと思います。「ローズガーデン」の話って、皆さん知らないことが多いと思います。「馬場造園課さんがやっているの?」という声を聞いたこともあるので、私もうかがってみたいなと思っていました。「ローズガーデン」はできてから何年になるのですか?
浅川「ローズガーデン」は平成18年にできました。歴史としては、目黒から府中に競馬場が移ってきたのが昭和8年で、その頃から競馬場の中にバラはあったそうです。やっぱり日本ダービーをやる東京競馬場はバラに縁(ゆかり)があるということで、ローズガーデンが出来る以前からバラ自体は植えられていた記録があります。
梅田ということは競馬とバラって密接というか、高貴なものの象徴だったという…。
浅川そうですね。特に東京競馬場は、「バラのイメージ」をずっと持っていると思います。以前は今の「ローズガーデン」の場所は「オークススクエア」と呼ばれていましたが、その時から今ほどではないのですが、バラはありました。それが平成18年、スタンド改築工事が進んでいたなかで、その一環として今の場所に「ローズガーデン」というバラ園として開設されたのが誕生です。
梅田年々、ローズガーデンが大きくなっているというか、パワーアップしていると思っていて、毎回感動して見ています!やはり力を入れていらっしゃるのでしょうか?
浅川そうですね、頑張っております。2018~2020年にかけて従来よりも規模を大きくしました。もともとは真ん中の噴水の周りが中心だったのですけど、女神像の部分も拡張するような形で広げていって、バラも新しく植えました。間もなく見頃を迎えますが、4月下旬から5月にかけてイベント部門とタイアップして、平日にもお客様に開放してご覧いただいたりしております。
梅田そうなんですか!平日も入ることができて、バラの手入れをしたり何かできたりするのでしょうか?
浅川手入れができるわけではありませんが、通常は閉鎖している競馬のやっていない平日についても、ご覧いただけるようにいたします。


※写真は5月、満開となったローズガーデンの様子(以下同)。
赤いバラを中心に楽しんでいただけるような配色をデザインしています
梅田バラの愛好家の方とかご近隣のバラを見たい方々が、それをきっかけに馬も見に来てくれたら、さらにうれしいですもんね。最初の頃から比べて、今はどれくらいバラの種類が増えたのでしょうか?
浅川今は種類としては300種類以上あります。
梅田完全にバラ園ですよね!すご~い!バラもそうですし、他のパンジーなどの花の種類の名前の札も添えられていて、楽しみ方がさらに増えたなと思いました。そういう工夫も年々、凝らしていらっしゃるのでしょうか。
浅川はい、見る方にも楽しんでいただけるようにと思っております。ここのバラは、日本だけではなくて、イギリスやフランスなどの品種も取り入れております。競馬では馬の血統があるように、バラにも様々な配合で作り出された品種があります。サラブレッドの血統は3頭の馬にたどり着くそうですが、観賞用のバラも元を辿ると7、8種類の原種に絞られるそうです。
梅田やはり馬の世界と同じように、行き着くところがあるんですね。
浅川そういったことも考えながら、特に東京競馬場だとケンタッキーダービーにも使われる赤いバラを中心に楽しんでいただけるような配色をデザインしています。
梅田毎年、赤いバラとピンクのバラの写真が撮りたくて、列をなすぐらいの写真スポットになっていますよね。これも馬場造園課さんが担当されているということですが、実際にデザインや細かい部分に関しては、ガーデンニングの専門の方がお手伝いされていらっしゃるのでしょうか?それとも、馬場造園課さんでガーデニングが好きな職人さんが付きっきりでやっていらっしゃるのですか?そのあたりはどうなのでしょうか?
浅川それはどちらもですね。
梅田そうなんですか!?
浅川なかなか自分たちだけでは分からないところがあるので、専門の方にも手伝っていただきながら、あとは配置だとか、どういった色の花を植えるかなどのデザインについては、馬場造園課のメンバーで考えながらやっています。
梅田「バラ課」というかバラを担当されている特定の方がいらっしゃるということですか?
浅川造園全般の担当がいます。
梅田造園担当さんと言うと、「ローズガーデン」のバラをやったり、パドックのところのお花をやったりしていらっしゃるのですね。私、毎回感動しているんです。だって開催ごとに全然違うじゃないですか。私の場合、パドックの放送ブースから見ることが多いので、ちょっと上の方から本当によく見えるんです。あのバラなどの配置とか、どれくらい準備をされてやっていらっしゃるのか、細かいお話も気になっています。
浅川あちらも自分たちだけで作っているわけではないですが、外部の方とデザインなどを考え始めるのが、だいたい3か月前からになります。
梅田適当に花を買ってきて、適当になんとなくこんな感じ…、って植えているわけではないですもんね。
浅川基本的には何かコンセプトみたいなものを定めて、「今回はこの色でいこうよ」とか話し合って進めています。
梅田今度の開催ではパドックのお花のイメージは、どのような感じなのでしょうか?
浅川ダービーのシーズンになるので、赤いバラを取り入れたいと思っております。この後に実際にどうなるのか、楽しみにしていただけたらと思います。
梅田開催している約2か月の間に、花が伸びたり育ったり、毎回来る度に整えられているので、「あそこちょっと変わったな!」とか、いつも感動して見ています!
浅川ありがとうございます。少しずつ植え込みの形を変えたり、場所を変えたりマイナーチェンジはやっております。


開催しているベストのタイミングで楽しんでいただけるように
梅田やっぱり、そうなのですね。ご苦労されている点などはございますか。
浅川やはり生き物なので、たとえば病気だったり虫害だったり、人間でも同じだと思いますけど、調子の悪い時も必ずなかにはあります。開催しているベストのタイミングで楽しんでいただけるように、そういうことを防げるように気を遣っています。
梅田雨が多すぎたり、年によってはありますものね。この年は大変だったなあ、ということはありましたか?
浅川私も東京競馬場以外の競馬場でも造園担当を勤めた経験がありますが、「今年は思ったように花が咲かなかったな…」ということもありましたね。
梅田やはり経験上、そういうこともあるのですね。でも、お客さんの立場として見ていると、全くそういうことを感じさせない素晴らしさですね。
浅川春の時期で言えば、阪神競馬場は桜花賞での桜のことで気をもんだりもしていると思います。最近は特に(開花時期が早くなり)ずれてきていますからね。
梅田桜花賞の時に桜が散っているのは寂しかったりするので、いつも咲いてくれている人の気持ちが分かる桜とか、いろんな説がありますよね。その“都市伝説”も楽しみながら、桜を見ているところはあります。
浅川阪神競馬場で担当した職員の話を聞くと、皆さんに聞かれるので、「今年は大丈夫かな…?」と、2月くらいから気になっているみたいですね。
梅田そうなんですか!?あれはやっぱり、人の気持ちの分かる桜なのでしょうか?
浅川桜が人の気持ちをわかる部分はあるかもしれませんし、もしそうなら、精一杯がまんしたけれど咲いてしまった桜を見守る優しい気持ちを、ご覧になる皆様にお持ちいただけたらありがたいです(苦笑)。
梅田それだけ皆さんで頑張って時期をあわせようとしているのですよね。
浅川桜に関しても、できる限りの管理をしております。肥料を与えるタイミングを考えたりとか、そういったことですかね。
梅田そういったことで、ちょっと時期をずらしたりすることもできるのですね。
浅川どのタイミングで栄養を与えるか、というのは大事な要素としてあると思います。



今年もヴィクトリアマイルとオークスの週に予定しています
梅田人間と同じですね。いつご飯を食べたらいいかというのと一緒ですね。「ローズガーデン」の冊子も作られていて、これはたぶんシーズンになると、人気で無くなってしまいますよね。
浅川せっかくなので、なるべく多くのお客様に見ていただけたらと思います。過去の歴史についてなど、いろんな読み物の記事もあります。
梅田ケンタッキーダービーはチャーチルダウンズ競馬場で行われますが、優勝馬には赤いバラのレイが贈られますから、「やっぱり、赤だよね」ということなんですね。いろんなプロのガーデナーさんたちの監修もあって、これだけのバラを育てているのはすごいことです。あと、内馬場もきれいですよね。私、昼休みに内馬場へ行ったりするのですが、障害レースの時などは、競馬をやりながら、皆さんで「バラ、すごいね!」なんて言いながら楽しんでいます。
浅川バラもそうですし、この冊子の後半に出てくる宿根草を使ったグラスガーデンは、興味のない方にとってはただの緑の草にしか見えないかもしれませんが、実は季節ごとに変化が楽しめる植物になっています。そういったものを馬場内には多めに配置しておりますので、お楽しみいただけたらと思います。
梅田本当にすごいです。パドックのお花のデザインも素晴らしくて、いい意味で日本っぽくない雰囲気です。
浅川そうおっしゃっていただけると、みんな喜ぶと思います。
梅田やっぱり芝の担当とバラなどの担当は、別になるんでしょうか?
浅川どちらもできるようになってはおりますが、作業担当は分けています。手順やスキルも違ってきますので。ただ、それをどういった内容にするかなどは、同じ馬場造園課のメンバーとして一緒に手がけています。
梅田そうなんですね。それにしても300種類のバラって数え切れないほどですよね。
浅川今も少しずつ増えていますし、同じような花でも少しずつ違っています。
梅田私はお客さんから「バラを売ってくれたら、買いたいよね」といった声を聞いたこともあります。見るだけではなく、いろんなことができたらいいなと思います。
浅川そういう意味では「ローズフェスタ」というイベントをやっております。今年もヴィクトリアマイルとオークスの週(5/16・17・23・24)に予定しています。
梅田バラの先生がいらっしゃって、アレンジメント作りなどのイベントをやったりしていますよね。
浅川その時に、ここに咲いているバラを生かしたアレンジメント作りなどは体験できますので、抽選ではありますが、もしご興味がおありでしたら参加していただけたらと思います。
梅田バラのイベントを増やしていただけたらうれしいですね。それにあそこでワインの販売もやっているじゃないですか。だから「ワインを売っているのだったら、お花もじゃんじゃん売ったらいいのにな…」と思ってしまいます(笑)。
浅川そういった内容も良さそうですね。


どんどんみんなが楽しめるようなところになっていけたら
梅田ぜひぜひお願いいたします!絶対、私買います!(笑)。母の日も近いですしね。売り上げの何%かを馬のことに役立てられるのなら、みんな喜んで買うのではないかと個人的に思います。今年も楽しみにしています。これらは4月に入ってから本格的に鉢を植えて、育てていくのですね。
浅川3月下旬の頃は葉も全然開いていなくて、ちょっと殺風景だなと思っていましたが、雨が降って暖かくなったら、一気に開きましたね。
梅田年々、バラが成長して、つるバラがどんどん大きくなっているのは、毎年見ている者としては感動というか、うれしいです!
浅川私も暖かくなって葉が開いたから、「よかったなぁ」と思いましたよ。あんまり茎しかない姿では…(苦笑)。
梅田そうですよね。今年も順調に成長しているようですね。よかったです!
浅川それが何よりですね。
梅田せっかくなので、ご家族で来てほしいですよね。初めての方にも親しみやすい環境だと思いますので、そのためにお花を売ってもらったり、赤バラの近くでワインを沢山販売していただいて(笑)。先程も申し上げましたが、あれはいい考えだなと思っています。私もお酒が好きというのもあるんですけど(笑)。
浅川ちょうどバラのところにベンチがあって、花を見ながら楽しめると思います。
梅田あそこでワインを頂くのはいい気分なんですよ!いろんな催しを考えていただけたらうれしいです。話は変わりますが、浅川さんがこれから目指していきたいところなどはございますか?
浅川難しい質問ですね(苦笑)。東京競馬場という国内でも有数の大きな競馬場で仕事をさせていただいているので、今は1つ1つ順番に何事もなくレースを終えられること、できるだけ人馬が安全で、レースを皆様に楽しんでいただけることが一番です。ただ、それだけですね。
梅田本当にそうですよね。馬場を走ってきた馬が、無事に帰ってきてくれたらということですよね。「ローズガーデン」に関しては、こうしたいということはありますか?
浅川まだこれからバラの品種を増やしてもいきたいですし、他にもご覧いただいた方々から「こうしたらいいな」というアイデアが出てくると思います。私もそういった声を聞きながら、どんどんみんなが楽しめるような、「きれいだな~」と言ってもらえるところになっていけたらいいです。
梅田特に見てもらいたいところなどありますか?
浅川例えばバラと、パンジーや菜の花だったりとか、バラにプラスアルファの組み合わせで年間を通じて何か楽しんでいただけるようなところを考えています。
梅田バラが主ですけど、バラを引き立てるための他の花との組み合わせもこだわっていらっしゃるのですね。年々、株が育っていく様子がすごくて、今年はどんなふうになっているのかな、と楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。
浅川ありがとうございます。そうやって見続けていただいているというのはありがたいですね。今年も5/16・17・23・24にローズフェスタを開催します。美しいバラと、それを活かしたパフォーマンスやガーデンツアーなど、ローズガーデンを楽しめるイベントを準備していますので、ぜひお越しください。
梅田皆さん、そうみたいですよ。今年もバラと馬を愛でにお邪魔したいと思います。


(構成:スポーツ報知 坂本達洋、Photograher:山口比佐夫)

梅田 陽子
セントフォース所属。学習院女子大在学中より、日本テレビ「きょうの出来事」お天気キャスターとしてデビュー。2006年よりグリーンチャンネルキャスターとして、中央、地方競馬に携わっている。情報、スポーツ番組MC・リポーター、イベントMCとして活動中。馬とお酒と音楽(ピアノとチェンバロとパイプオルガンの演奏をします)が好き。

吉田 俊介
1974年北海道出身。(有)サンデーレーシングの代表で、ノーザンファームの副代表。中山馬主協会理事(広報インタビュー担当)。