01. 会長だからこそ言えるアリーナ式で複合施設のある全く新しい中山競馬場像
時代に合った新しい中山競馬場の夢があふれる“構想”
梅田今回はスペシャルゲストにお越しいただきました。むしろお招きいただいたと言った方がいいのかもしれません。こちらの東京・浅草にある「たまや 本店」さんで、中山馬主協会の西川会長にお話を伺わせていただきます。さっそく、すごくおいしそうなお料理ですね!
西川会長これがなかなか手に入らない高級魚の「のどぐろ」です。
梅田煮付けですか。めちゃくちゃ大好きです。フワフワですごくおいしいですね。そして、お店も大にぎわいですね。
西川会長今日は梅田さんが特別ゲストでいらっしゃるということでご用意しました。おいしいでしょう?ここはうちの娘がやっている「たまや」というお店でございます。おかげさまでほとんど予約をしないと入れないです。
梅田先ほどからお客さんが引っ切りなしでいらっしゃっていますし、お魚が“ウリ”なんですね。もちろん、他の食べ物もおいしいと思いますけど。
西川会長娘の旦那が築地で店をやっていますので、「これが食べたい」と言ったら直接何でも仕入れられます。うち(中山馬主協会)の役員さんも、ほとんどこれは食べていないと思います(笑)。
梅田それでは楽しい雰囲気のなか、お話を伺っていきたいと思います。今の中山競馬場が出来て何年くらいになるのでしょうか?改修工事は少しずつやってきたと思いますが、建ててから四半世紀くらい経ちますか?
西川会長40年近くになるかな(現在のスタンドは1990年に完成)?私が馬主になった当時は、もっと古い建物でしたが、その1回しか建て直していないんですよ。中山競馬場は2018年で90周年でしたが、もう建て直さないといけないですね。私には“構想”があるんですよ。中山競馬場は船橋市と市川市にまたがっているでしょう?厩舎側は市川市で、競馬場のスタンドやコースがある所が船橋市で、その真ん中に走っている道(松戸原木線、県道180号線)を地下にしてしまえれば、それが一つにできるのですよ。それで広くなった敷地を利用して、一面をアリーナの競馬場にしたらどうかと思っているんですよ。
梅田アリーナですか!?
西川会長ドームじゃないですよ。野球みたいにボールが飛んでいくわけじゃないですから。ドームにしなくてもアリーナだったら5階建てくらいで、真夏になったら締め切ってクーラーを入れて涼しいなかで競馬をする。これが僕の“構想”なんですよ。これをJRAがやるかどうかです。競馬会は難しいと言うかもしれないですけど、そういうことをやらないと若い世代が“競馬離れ”をしてしまうと思うんですよ。例えばそこに複合施設を作ったり、今の時代に合わせていろんなことを考えていく必要があると思いませんか?
梅田北海道日本ハムファイターズの本拠地の「エスコンフィールド」がそうですよね。確かに、本当に私もそう思います。
西川会長エスコンにはサウナがあったり、レストランがあったりして、そういうところから試合を見られるわけでしょう?競馬場に置き換えたとするならば、1階をアウトレットにするとか、競馬を見るところは全部すごいボックスシートにして、いろんな角度から見られるようになったら面白いでしょう?ずーっと広々と5万人くらい入っても賄えるくらいにできたらと思います。そんな臨場感あふれるボックスシートで、注文をすれば食事を運んで来てもらえる。東京ドームみたいに年間指定席のボックスシートがあってもいいですね。そうすれば中山での開催も約40日ではなくて、真夏も中山のアリーナで2か月間やるとかして、競馬法も少し変えて3日間開催を普通にやったり、そういうのが僕の“構想”なんです。そういうことを「JRAができなかったら、どこが出来るんだ」ということです。千葉県をはじめ、自治体や周辺に住んでいらっしゃる方々のご理解が必要とは思いますが、競馬会がお金を出して、新たな競馬場は複合施設として作っていく。これが絶対なんですよ。

開催がある時もない時も全員が楽しめる複合施設で若い世代にアプローチ
梅田会長のおっしゃる通り、今は過渡期だと思います。人の考え方も変わってきているし、夏の猛暑など気候も大きく変わってきていています。100年前の常識では、もう最近は通用しないところがあると感じています。
西川会長ナイターって言ったって、夜も暑いんだから。そうでしょ?例えばね、香港も暑いなかで競馬をやっていますが、なぜ馬が耐えられるかと言えば、厩舎の中がクーラーで非常に快適に保たれているらしいんですよ。鉄筋コンクリートの厩舎で、キンキンに冷やしていて、馬は暑いコースで走ってきても、終わったらシャワーで冷やしてもらって、サッと拭いて涼しいところにいけば食欲はわきますよ。その一方で馬は寒さには強いですからね。冬の北海道でも、毛が生えてきて耐えられるわけですから。だから冬毛って、よく言いますよね、あれは調子が悪いんじゃなくて、環境に対応しているということです。そういうことで馬は、寒さに強い、暑さには弱い。ついでに言うと馬運車に乗るとなぜ馬が熱発するか、分かりますか?
梅田どうしてでしょうか…?最近は馬運車も進化していると聞きますが。
西川会長馬というのはボロ(馬ふん)をするでしょう。そうするとそこからメタンガスが出て、それを馬が吸います。そこに菌があって、それで体内のどこかに菌がついて熱発するんですよ。だから馬って2時間くらい輸送をしたら、2、3度くらい上がっちゃうわけよ。それで例えば北海道から運んで来るとなると、運転手さんの休憩を取るルールもあるから、長い時間がかかるわけですよ。そう考えると輸送によって馬にはどれだけの疲労がかかってしまうのかということです。そうなると新潟や中京に運ぶ時も、そういった時間がかかるリスクがあるわけで、それで公正に競馬ができるのか考えものです。一番強い馬が体調を崩していても、馬はしゃべらないですからね。ちなみにこの間のスプリンターズSで、香港から来たラッキースワイネスが負けたでしょう?あれは日本で滞在する厩舎が暑いからですよ。あの馬は強いけど、全然負けてしまったのは、そういう理由もあると思います。そういうことを考えていくと、世界初のアリーナ競馬場はいいじゃない!
梅田かっこいいですね。いろいろな使い方ができますし、いろいろな方々が来てくれそうですね。
西川会長万博じゃないけど、世界の有名なブランドショップが入って、いろんなおもちゃやアニメの子供たちが楽しめる施設もあって、全員が行って楽しめる。競馬が開催していても、開催していなくてもね。例えば今日は誰々のコンサートがあるよといったように、いろんなことで活用できるわけです。「横浜アリーナ」みたいにしてみたりとか、設計者によって面白いものができると思います。
大胆な発想でスタンドもコースもリニューアル
梅田アリーナで会長の「新聞少年」、聞いてみたいですね(笑)。もし中山競馬場が新しくなるとしたら、会長はアリーナ式で複合施設にしたいとうかがいましたが、場所は今の場所がいいですよね。
西川会長この真ん中の道(松戸原木線)を地下にできるとしたら、厩舎のあるところなどの土地も含めて、いろんな形が考えられると思います。
梅田コース形態も増えたらいいでしょうか?
西川会長ダートの1600メートルだってやろうと思えば、内回りコースを作って、外回りコースなら1800メートルができて、芝だったら1周2400メートルの競馬ができるとか、2500メートルの競馬ができるとかにすれば、いいかもしれないね。日本の競馬場だけがコーナー4つで直線と向こう正面があって全部同じような形じゃない。イギリスやフランスだと楕円(だえん)形のコースもあるし、今でも中山競馬場は1200メートルと1800メートルのダートがほとんどだけど、だったら1250メートルでもいいと思います。福島には1150メートルがあるわけですから。中山で1250メートルのコースを作ったら、と言ったこともあります。東京で1300メートルがあるわけですしね。
梅田なるべくきっちりとした数字で区切るのは日本人的な感覚かもしれませんね。海外にいくと、中途半端な距離のレースがありますものね。
西川会長それが競馬なのよ。そしてそれがその競馬場のステータスだから。うちは1870メートルがあって、お前のところは1850メートルしかないだろうと。それでどこを選択するかというのも面白い。この20メートルで相当違うかもしれないし、中山の1870メートルができたら、京都でやっている1900メートルにもつながるわけですよ。そのへんが決まりは決まりでしかできないというのは、要はやる気がないだけなんですよ。もうちょっと柔軟な考えでやってほしいですね。
梅田何でも最初に新しいことをやる時は大変ですもんね。
西川会長やっぱり何でも意見を言う人がいないと、いつになっても物事が遅れるんですよ。しようがないな、あいつがうるさいからな、って人が現れないと、何でも進歩しないんですよ。
梅田これまで全然変わらないので、中山競馬場の工事のお話をするのは“タブー”なのかと思っていました。改めて会長にとっては、中山競馬場へのこだわりや愛着はありますよね。
西川会長もちろんありますし、コンパクトだけど有馬記念のような大レースをやっていることは、一番エキサイティングでふさわしい競馬場だと思います。このコース形態自体は、それはそれでずっとあっていいと思います。だけどその外枠に、でっかいレースができるような馬場も作ることができるし、船橋側と市川側に分かれている土地をフルに使って地下に駐車場を作るなど対策をすれば、いくらでもできると思いますから。
梅田会長は何年も前から言い続けていらっしゃったんですね。
西川会長私が会長になる前の馬場委員になった時から言っているんですから。私は役員になって、すぐに賞品委員になって、馬場委員になって、広報委員になって、それですぐ会長になっちゃったんだけど、俺なんか“1年生”の時から働かせられたからね。

(構成:スポーツ報知 坂本達洋)

梅田 陽子
セントフォース所属。学習院女子大在学中より、日本テレビ「きょうの出来事」お天気キャスターとしてデビュー。2006年よりグリーンチャンネルキャスターとして、中央、地方競馬に携わっている。情報、スポーツ番組MC・リポーター、イベントMCとして活動中。馬とお酒と音楽(ピアノとチェンバロとパイプオルガンの演奏をします)が好き。

吉田 俊介
1974年北海道出身。(有)サンデーレーシングの代表で、ノーザンファームの副代表。中山馬主協会理事(広報インタビュー担当)。