ゲスト
越穂波 さん JRA人事部長

02. いろんな考え方を受け止める力はある会社だと思います

いろんな考え方を受け止める力はある会社だと思います
JRA人事部長(報道室長)の越穂波さんをお迎えしてお届けする梅田陽子の「ホースと共に!」。JRAの各部署はどんなお仕事なの?後編では、競馬会に入会されてから様々な部署を渡り歩いてこられた越さんに、各部署でどのようなことをされてきたのかをお聞きしました。

馬事公苑で馬術もいいなと思うように

梅田そういったことでつながりができますからね。函館の後はどちらへ行かれたのですか?

その後は馬事公苑に行きました。毎週のように乗馬大会がたくさんあって、国内のグレードの高い競技会もけっこうありまして、私は総務課でしたので、頼まれたことは幅広く何でもやりましたが初めての事も多かったですね。

梅田総務課って、いろんなことをやらなくてはならない部署ですもんね。バランス感覚も求められると思います。

そうですよね。総務課の仕事も初めてなので、誰に何を頼めばいいか最初は戸惑うところもありました。また近隣への対応なども行いました。大きい施設なので、近隣に限らずいろいろとありました。そして競馬は好きでしたけど、馬術というものは全然知らなかったので、すごく勉強になりましたし、馬術も大切で、いいなと思うようになりました。

梅田それまでは競馬場という施設でしたけど、馬事公苑に行ったら馬術とか馬文化の世界になりますし、同じ馬でも違いますよね。

はい、全然違いましたね。馬術をずっとやってらっしゃる方々と接することができて、こういう世界もあるんだと感じることができて、学びがありました。馬事公苑には1年間いまして、その後は本部に戻ってお客様部に配属されて、当時のイベントやキャンペーンに携わっていました。

梅田お客様部はやることが広いですよね。

すごく大きな部署ですし、業務も多岐にわたっていて、皆が常に忙しく業務に取り組んでいましたね。

我々は“究極の黒子”だと思いながら

梅田それにしても越部長は、いろんなご経歴をお持ちですね。今は人事部にいらっしゃいますけど、JRAへの就職を考えていらっしゃる方も見てくださっていたらいいなと思っていろいろ聞かせていただいていますが、本当に担当部署ってたくさんあるのですね。

本当にやることはたくさんあります。全国に多くの事業所があって、馬事公苑や競馬学校、トレセン、育成牧場などいろいろな施設がりますし、発売規模で考えれば、よくこれだけの人数でやっているなと思いますし、競馬サークルと考えれば、本当にすごくたくさんの方がいらっしゃるわけで、皆さんの協力のもとに毎週の競馬が行われていると思います。これはお客様に気づいていただかなくてもいいことですけど、みんな裏方として同じく頑張っていて、支える人もいれば、その上で動く役割の人もいて、我々は“究極の黒子”だと思いながらやっております。

梅田誰ひとり欠けてはいけない存在ですよね。その後も続きがあるわけですよね。

お客様部の後は中京競馬場に行きまして、またスタンドの建て替えがありました。中京競馬場も4年間いまして、今のスタンドができる時でした。

梅田ちょうどその頃、グリーンチャンネルの「中京ナビ」みたいな番組の担当になりまして、新しく完成した中京競馬場に番組企画で行かせていただきました。すごく大きくて感激したのを今でも覚えています。

オープン前に撮影にいらっしゃった時、私も総務課長として帯同させていただいていました。

梅田あの時に越部長もいらっしゃったんですね!? その節は本当にお世話になりました。総務課長となると、いろいろと細かいところまで気を配ることになりますよね。

総務課には係長もいますし、皆さん優秀ですので、うまく連携して仕事を手分けしてやることができました。また外の方との付き合いがどうしても増えるので、近隣の方や自治体の方であったりとか、いろいろな異業種間交流をさせていただいて、中京での4年間も勉強になりました。それに中京競馬場はオーナーさんがいる建物なので、オーナー会社さんともよくお話をさせていただいて、いいお付き合いをさせていただいたと思います。

東京競馬場の副場長として無観客競馬を経験

梅田そこからまた違う競馬場に行かれたのでしょうか。

中京競馬場から人事部に異動して4年間いました。そこからWebサービスでホームページを2年間担当して、その次はまた東京競馬場に行きました。その時は副場長でした。

梅田大きい競馬場の副場長というと大変そうなイメージがあります。

それが新型コロナウイルスが世界的に流行してしまい、着任した途端に無観客競馬になってしまいました。なので東京競馬場には2年間いたのですけど、それこそ先ほど申し上げたような地元の人との関係であったりとかは、人と会うこと自体が禁じられていたので、残念ながら…。開催時もちょっと検量室に行ってこようかな、装鞍所を見てこようかなと思っても、必要以上に出歩いてはいけませんでしたから…。そういった意味では東京競馬場なのにもったいないなとは思いました。でもレース自体は素晴らしいレースがたくさんあって、コントレイルの日本ダービーやアーモンドアイのジャパンCとか、本当にたくさんのお客様に見ていただきたかったなと思うことが多かったです。

梅田そうですよね。無観客競馬も今となると、それも歴史の1ページというか、いろいろなことがありましたよね。

2020年の秋から人数制限はあってもお客様に入っていただけるようになったので、それはそれでよかったとは思いました。そして今の人事部に来る前に広報部の報道室に2年ほどおりました。そして去年から今の人事部で仕事をしています。

梅田そうなんですね。本当に多くの部署でお仕事をされてこられたのですね。越部長はひと通り回られたような感じでしょうか?

そうです、そうです。90年入会なので。満喫させていただきました。

やはり自社製品に誇りをもっていただけたらいいなと思います

梅田今いらっしゃる人事部では、主にどんなお仕事されていたのですか?一言では言い切れないとは思いますけど。

どこの会社の人事部と同じように採用活動をします。そして採用した人の研修をやりますし、それから転勤であったり、毎週の出張も含めて任用しますし、あとは職員のお給料のことであったり、税金のことであったり、福利厚生的なことも担当しています。あとは職員の人事評価はもちろん、これから世の中も定年延長がどんどん進んでいく中で、どういうふうに人事をやっていくか制度を考えたりとか、多岐にわたります。

梅田採用などで重視していることなどはありますか?

そうですね。一言で言うのはなかなか難しいですけど、転勤もありますし、自分のしたい仕事だけをできる会社ではないので。そこがミスマッチになってしまうと入ってきた人をガッカリさせてしまうことにもなると思います。やはり競馬というものを好きになってほしいというのはあって、自社製品に誇りをもっていただけたらいいなと思います。あとは将来、どうなっていくか分かりませんけど、物事の流れ自体が早くなっているよう世の中なので、新しい考えを持っている若い人の意見をどんどん発言し教えてほしいというのはあります。その反面、今日のJRAになるまでの歴史がありますし、今の形で競馬を開催していけているのは、いろいろな先人の努力というか、最適なものを目指して改良していって今があるわけです。そのあたりをうまく融合して取り入れて作っていけるような柔らかい思考というか、新しいものだけが良くて、古いものがダメではなく、何でも受け止めて、そのうえで自分の考えを出していけるタイプの人が、これからの時代で強い人材だと思います。あとは何より健康で元気な人が強いなあと思います。

梅田先ほど越部長がおっしゃっていましたけど、行く先々で楽しめるっていいですよね。それもひとつの強みになりますよね。

ウインズだと北海道や九州など広く全国にあるわけですし、縁もゆかりもないところで一人暮らしとなると、人によっては嫌だなと思うかもしれませんが、気にしないで楽しんでいただくようなマインドセットができる人だといいなと思いますね。

梅田勉強になります。もし越さんが、入会当初の自分に言ってあげたいことってございますか?

それは学校時代も含めてそうなんですけど、恥ずかしい話ですがもっとちゃんと勉強しておけばよかったとすごく思います。基礎的なことは非常に大切なので、もっとじっくりと勉強しておくべきだったなと思います。そのあたりが個人的に弱い部分なので(苦笑)。それに、今読んでも、次の日には全部忘れてしまうので、学んだことを記憶できるうちにちゃんとやっておけばよかったと思います。これは与太話ですけど。

すでにジェンダーを気にせずに仕事ができる環境に

梅田これから来る学生さんとか、中途で目指す方などに伝えたいことなどはありますか?

企業風土といいますか、いろんな考え方を受け止める力はある会社だと思いますし何でも興味をもってやってもらえたらと思います。ゼネラリストもスペシャリストもすごく重要で、専門職の方々、事務職の方、働き方の違いはありますけど、それぞれ重要で、みんなが良さを発揮して頑張れると思います。

梅田先日、中京競馬場の山村場長もおっしゃっていましたけど、女性の働き方が変わる過渡期に入会されている世代ですから、いろいろ大変なこともありましたというお話をされていましたが、越部長もそういう経験はございましたか。

いろいろありました。時にはやめようかなと思ったこともありましたが、今はやめなくてよかったなって思っています。

梅田これからも女性目線は働くうえで大事になっていきますよね。

今は採用者数の4割程度は女性です。これからもますます増えて声は大きくなっていくと思うので、ジェンダーを気にせずに仕事ができる環境になっていると感じています。

梅田改めてこれから越部長がやってみたいことなどございますか?

いや~ないですよ~。いろんなことをさせてもらってよかったなという感じです。競馬がもともと好きで、馬を見ながら仕事もできて、競馬を仕事にできたので、その点については満足していますので。

梅田幸せなことですよ。お気に入りの馬などがいらっしゃったら教えていただけますか。

私が好きな馬はフェノーメノなんです。走る姿が力強くきれいだったからです。強い馬はいっぱいいますけど、レースを見ていてグッときました。それに牝馬は顔も可愛い馬が多くて好きです。メロディーレーンとかかわいいなと思っていました。来年子供が産まれるみたいですので、楽しみにしています。」

梅田私も個人的にメロディーレーンを応援していますので楽しみです。本当に楽しいお話を聞かせていただきありがとうございました。

(構成:スポーツ報知 坂本達洋)

梅田 陽子
セントフォース所属。学習院女子大在学中より、日本テレビ「きょうの出来事」お天気キャスターとしてデビュー。2006年よりグリーンチャンネルキャスターとして、中央、地方競馬に携わっている。情報、スポーツ番組MC・リポーター、イベントMCとして活動中。馬とお酒と音楽(ピアノとチェンバロとパイプオルガンの演奏をします)が好き。

吉田 俊介
1974年北海道出身。(有)サンデーレーシングの代表で、ノーザンファームの副代表。中山馬主協会理事(広報インタビュー担当)。

※この記事は 2025年9月3日 に公開されました。

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