ゲスト
山村差代 さん 中京競馬場場長

01. 真夏の中京競馬場で馬もファンも快適に過ごせるように

真夏の中京競馬場で馬もファンも快適に過ごせるように
アナウンサー梅田陽子さんがインタビューアーとなりお届けする「ホースと共に!」。今回のゲストは、中京競馬場長・山村差代さんです。山村さんは1992年に日本中央競馬会へ入会され30年以上にわたり競馬会に携わり、今年3月に中京競馬場の場長へ就任されました。前編では、場長として迎えた春の中京開催を振り返っていただきながら、夏の中京開催、各イベントの見どころなどをお聞きしました。インタビューは開催直前に行いました。

あの金鯱賞は鮮烈に記憶に残っています

梅田今回はJRA中京競馬場の山村差代場長にお話を伺います。いよいよ夏の中京競馬場での開催が始まりますね。

山村7月26日から暑熱対策のもとでの開催が始まります。みんな準備に勤しんでいます。

梅田早速ですが、中京競馬場の場長になられてどれくらいになるのでしょうか。

山村この3月1日の定期人事異動からなので、4か月半ほどです。

梅田そうなんですね。実際に場長に就任されて、これまでいかがでしたでしょうか?

山村3月に着任してから、すぐに高松宮記念が行われる2回中京開催がありましたので、あっという間でしたね。「場長」と呼ばれるのはちょっと気恥ずかしいというか、ピンとこない感じは、まだありますね。

梅田いきなり着任早々に場長という立場でのGⅠは違いましたか?

山村やっぱり緊張はしました。ただ、競馬開催に向かって職員一丸となってきっちりと準備をしてくれていると思って着任しましたので、基本は「きっと大丈夫!」、反面、無事に開催を完走できるよう祈るような気持ちもありました。

梅田まずは着任早々の高松宮記念は、サトノレーヴがGⅠ初制覇ということで素晴らしいレースを見せていただきました。改めて山村場長から中京競馬場のことを教えていただきたいと思いますが、場長からご覧になって推しポイント、魅力を教えていただけますか。

山村やはりレース面では東西どちらからもそれなりに近いので、有力馬が集まりやすいのかなというイメージはあります。あと4大場(中山、東京、京都、阪神)はスタンド含め規模が大きく、それに次ぐGⅠが2つある競馬場ではありますが、スタンド自体はコンパクトなんですよね。観覧席とコースとの距離が近くて、臨場感のある観戦をしていただけると思っています。

梅田それは推しポイントだと思います。厩舎関係者の方々からしてみれば、西から行っても東から行ってもちょうどいいという点がありますね。大都市の名古屋から近いですし、色々なイベントなどを企画していきたいという思いも強かったりするのではないでしょうか。

山村そうですね。「競馬場に行ってみたい」と思っていただけるようなイベントなどを工夫していきたいですね。

梅田いろいろ名物レースもありますよね。

山村やっぱり中京と言えば、1年の最後のレース「尾張(終わり)特別」ではなく(笑)、サイレンススズカの金鯱賞(1998年)というのが皆さん出てくると思います。あの金鯱賞は鮮烈に記憶に残っています。

梅田山村場長からしても印象に残るレースの1つなのですね。

山村現地で見ていたわけではないですけど、やっぱり伝説になるというのは分かります。2着に1.8秒もの大差をつけるというのは、とてつもないことだと思います。

梅田中京競馬場と言えば、名鉄杯もありますね。

山村はい、あの独特のファンファーレでおなじみです。

梅田少し前にグリーンチャンネルでファンファーレの特集番組を担当させていただいたことがあるのですが、名鉄杯のファンファーレはそこでしか聞けないものですよね。やはり名鉄杯を聞きたいというファンの方がとても多くて、そのファンファーレの話題からもファンの方たちの熱量がすごいと思いました。

山村本当にここでしか演奏されないファンファーレですからね。名鉄さんから譲り受けたパノラマカーは今も展示しています。どうやら年季が入ってしまってホーンは鳴らなくなってしまったようですが、サイレンススズカ広場の横に展示させていただいてまして、開催が始まるとそのなかで競馬教室なども実施しています。

梅田初めて競馬場に行かれる中部地方の方には、ぜひ足を運んでいただきたいですよね。電車のなかで競馬セミナーをやるなんて、すごいですよね。

山村本当ですよね。他では絶対にないと思いますので(笑)。

長い昼休みの間も快適に過ごしていただけるように

梅田高松宮記念などのある春もそうですが、夏もいろいろなレースが盛りだくさんですよね。実際に開催が始まる前って、どのような準備をされていらっしゃるのでしょうか?

山村暑熱対策での競馬ということで、人馬ともに安全にという最優先事項がありますので、設備面や人員配置、労務管理などの準備を整えているところですね。臨時の休憩用テントを広場に設けるなどしています。昼休みが3時間以上ありますので、その間お客様が過ごせる場所を確保しなければなりません。

梅田お客様が休めるスペースを設けたり細やかな心配りはうれしいですね。

山村絶対に暑い中、「ぜひお越しください」とはなかなか言いづらいのですが、お越しいただいたお客様には長い昼休みの間も快適に過ごしていただけるようにと準備をしています。

梅田この暑熱対策の期間は、だいぶお昼の時間が空きますからね。その間はイベントをするなど工夫をされることがありましたら、ぜひ教えていただきたいです。

山村やはり屋内で楽しめるもので、珍しいところだと寄席を企画しています。

梅田寄席ですか!?すごく楽しそうですね。競馬場でおいしいものが色々食べられたりするのと同じくらいうれしいかも(笑)。

山村もちろんそれもあります。キッチンカーや物産展などは通常開催と同様に準備しています。だけど外にずっといらっしゃるのでは、お客様が快適にお過ごしいただけないと思うので、屋内のメディアホールなどでお昼休みをお過ごしいただくような企画を考えています。

梅田ご飯も楽しんでいただいて、寄席も楽しんでいただいて、いいですね!どなたがいらっしゃるのですか?

山村登龍亭獅篭さん、柳家三亀司さん、さやか結さんが出演されます。

梅田今までJRAさんの場内イベントで寄席を企画したことはあるんでしょうか?

山村私の記憶にはないですね。あったとしても相当珍しいのでは。また、毎週日曜日はレース予想検討会を同じく暑熱対策で空くお昼休みに1時間かけて実施します。

梅田いろいろ盛りだくさんですね。でも寄席は意外でした。私が行きたいくらいです(笑)他にもここは見てほしいといったところはありますか?

山村「ミストで涼ませ隊」が場内の各所に登場します。去年実施して好評だったということで、今年もやります。涼しい気分になれるようにミストをシューッとかけてもらえます。

梅田パドックにいる馬だけではなく、見に来てくださっているお客様にもミストをということですね。“夢の国”のアトラクションみたいですね(笑)。あえて水をかけてあげて喜んでいただいて。

山村そうなんです。かけてうれしい、かけられてうれしい(笑)。

梅田お子さんたちが本当に喜びそうですもんね。

山村それから、競走馬関係では下見所(パドック)にトルネード式のミストファンをJRAでは初めて4台設置します。ミストだけではなく、風とミストなので、私も実際にあたってみたのですけど、かなり涼しいです。

梅田ミストだけよりも確実に馬が涼しく感じられるわけですね。馬をひいている厩務員さんたちも。

山村馬だけでなく人にも涼しさを感じていただけたらと思っています。また、装鞍所集合時間も後ろ倒しに、パドック周回時間も短くしています。

やっぱり“未来のファン”を

梅田8月23日から始まる4回中京開催の“推しイベント”も教えてください。

山村最終日のプレゼンターとトークショーは、女優の松本まりかさんに登場していただきます。あとは「ハワイアンフードフェス」を全日開催して、ロコモコなどを提供します。

梅田ビールを飲んで、ロコモコを食べて、私、大好きです(笑)

山村あと最終節の8月30、31日は「真夏のちびっこスノーエリア!」を設けまして、季節外れの雪を楽しんでいただきます。

梅田すごい!結構、労力をかけたイベントを実施されるのですね。ちょうど中京2歳Sの週ですね、毎週、盛りだくさんですね。やはり競馬場に行かれる世代は、ファミリー層だったり、色々な世代がいらっしゃいますからね。みんなに楽しんでもらえることを考えるって、ものすごく大変ですよね。

山村コアなファンの方だけだったら、レースをしっかりとやっていれば満足していただけるかも知れませんが、やはり“未来のファン”を含む、お子様連れにアプローチしていくのが、この先に向けていいのかなという感じはします。

梅田私も子供の頃は父が競馬好きだったので、今から思うと“英才教育”だったので楽しい場所だというのを植え付けられて育った気がします(笑)。

山村それって、とても重要なんですよ。怖いとか嫌なところだと思うことなく、楽しいところだと思っていただいていると、大人になって競馬場に足が向きやすいような気はします。

(構成:スポーツ報知 坂本達洋)

梅田 陽子
セントフォース所属。学習院女子大在学中より、日本テレビ「きょうの出来事」お天気キャスターとしてデビュー。2006年よりグリーンチャンネルキャスターとして、中央、地方競馬に携わっている。情報、スポーツ番組MC・リポーター、イベントMCとして活動中。馬とお酒と音楽(ピアノとチェンバロとパイプオルガンの演奏をします)が好き。

吉田 俊介
1974年北海道出身。(有)サンデーレーシングの代表で、ノーザンファームの副代表。中山馬主協会理事(広報インタビュー担当)。

※この記事は 2025年8月1日 に公開されました。

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