第3回
GIII シリウスステークス優勝
ジュンライトボルト
河合純二さん、裕明さん

初重賞勝利おめでとうございます!

重賞「シリウスステークス」本当におめでとうございました。重賞初制覇となりました!振り返っていかがでしょうか?

馬主になって8年目になるのですが、今まで概ね130頭ほど所有して来ました。 GIに5回、それから重賞レースにも10回近く出ていると思うのですがその中で初めて今回GIIIに勝てたということで、本当に感無量で、でもやっぱり難しいなぁと、もっと軽い気持ちで考えていたんですよね…。
こんなに重賞を勝つことは大変なのかなぁということを、今回まざまざと感じましたので非常に嬉しく思っています。

裕明さん
前の週にジュンブロッサムが重賞に出ていて、その結果が4着でぜひリベンジしたい気持ちでシリウスSに臨んだので、そこで見事に勝利を掴むことができたので、本当に父と一緒で言葉にならないくらい感無量でした。

前を見ながらのレースで、4コーナー本当に素晴らしい手応えで捲って行きました。あの辺りはもう勝利を確信されていましたか?

そうですね。4コーナー回って、幾分内の方に切り込んで来た時に、かなりの末脚、良い伸びをしていたので、「行ける!」と思ったのですが、ちょうどインコースで詰まっていた所もあってその間が空いてからはすごい脚で来てくれましたので、少しヒヤッとしましたが、いけるんじゃないかと思って見ておりました。

裕明さん
私はもう4コーナーの時には勝つだろう、父に電話しなきゃ!と思い、勝ちを確信していたので、父にいつでも電話できるように携帯をセットしておりました。

ダートに転向して3戦目での重賞初制覇となりましたが、この転向というのはどのような経緯だったのでしょうか?

私、そんなに詳しくないんですよ。どちらかというと息子に全部任せておりまして。私は所有している馬が本当に一頭一頭どの馬も精一杯頑張って走り抜けてくれれば、といつも考えているんですけれども。
だから特別芝だからダートだからとは思ってなく、ジュンライトボルトの場合は芝でもまだまだ十二分に通用するんじゃないかなと。
調教師の先生がダートを使いたいとのことで、ダートでもいけるんだろうなぁという思いでした。

裕明さん
以前、芝で走った時に鼻出血しまして…それで調教師さんから芝で速いタイムっていうのはもう1度鼻出血の恐れがあるので、その負担を減らす為にもダートを使っていこうということになりました。芝でもダートでも、まだ活躍できるのであれば全然ダートでも嬉しいことなので。そこでダートに切り替えたのがもしかしたら良かったのかなぁと思いますし、そこが運命の別れ道じゃないですけれど、良い風に作用したのかなと思います。
やっぱり芝よりもダートの方が短いので、あの馬にはそれが一番ベストな状態だったのかなと。「災い転じて福となす」じゃないですが、良い方向に向かったのかなと思います。

石川騎手が「4コーナーの加速力が強みと感じたと」とレース後にコメントされていましたが、オーナーはどの様に感じていらっしゃいますか?

やはりデビューした時からかなり期待はされていましたし、血統的にも非常に良い馬で我々も期待していたのですが、デビュー当初はモタモタしたかなという感じで、やっと身が入ってきたところでしょうか。

強み、ストロングポイントはどの様に感じていらっしゃいますか?

芝の時もそうだったのですが、最後必ず脚を使って切れる馬なので、それがダートでもきちんとポジションが前目で戦えて、最後しっかりと脚が使えてグっと伸びてくる。 それがストロングポイントかなと思います。

そして、そのジュンライトボルト号との出会いについても伺いたいのですが、どの辺りに惹かれたのでしょうか?

セレクトセールで落札して購入させて頂いたのですが、馬を見る目は圧倒的に息子の方があって、格闘技をやっているので良く分かるんですよね。筋力の付き方とかそういう部分を。それでこの馬は良いとあまりにも推奨するので、競りに負けないように頑張りました。
それが、物の見事に活躍してくれたので最初はさっき言ったように、不運な事もあって、出足がいろいろもたついていたのですが、ダートに移ってから一気に開花してくれました。

裕明さん
よく父といつも今走ってる中で一番何が強い?という話になった時に、父は所有馬の中の他の馬(ジュンライトボルト以外の馬)って言うのですが、僕はうちの馬で重賞を取ることがあるとしたら、多分ジュンライトボルトだよっていうのを宣言してたので、それが見事はまってくれたので、すごく嬉しかったです。

幼い頃はどのような印象でしたか?

とにかく早くデビューして欲しいなと。すごく期待してデビューを待っていました。一戦目は残念ながら負けてしまったのですが、二戦目には勝ち上がりました。私の友人、関係者からもきっと強くなりますよ、必ず成長する馬ですよという太鼓判を押されていて、期待が大きかったですね。
私とすればダートでこれだけすごい脚を見せて走ってくれてるわけですから、これからもっともっと、大きく成長して行くのではないかなと思いますよ。

性格的にはどのように感じてらっしゃいますか?

裕明さん
本当にいつも真面目で、調教においても真面目に走ってくれますね。その辺りがきっとプラスに出たのかなと思いますし、それが今報われてるんじゃないかな。馬自身も私自身も。 真面目にやってればこういう風に返してくれるんだよっていうのを、周りに教えてくれてるのかなと思いますね。

この勝利の余韻というのはどのように感じていらっしゃいますか?

そうですね…やはり初重賞制覇だったので、なかなかこの喜びは馬主冥利と言いますか、大変感動したし、感激したし余韻はいつまでも残っていますね。次走ありますので、また素晴らしい脚を見せてくれればと思いますよね。

何かご家族でお祝いとかはされましたか?

裕明さん
この時、実は父が入院しておりまして…ジュンライトボルトが勝ったときに思ったことは、「頑張れ!」と、うちの父を応援してくれてるのかなぁという想いがあったので、それはやはりすごく自分の中で嬉しかったですし、父にも力が漲ったのではないかと、それがすごく印象的で、嬉しかったです。

2週間程度入院してたんですよ…病院で個室で1人で見ていたので、余計その興奮したといいますか、そんな思いでした。
会社関係者を集めて祝いまして、クオカードを作って、皆さんにぜひお裾分けして、御礼したいと思ってるんですけど、少し時間がかかっているようなので、出来上がるのが楽しみです。

先ほども次走というお話ありましたが、チャンピオンズカップへ向けての期待の程はいかがでしょうか?

いや、行けるのではないかなと!自信も持っているし、勝ってほしいと思っています。ですから主戦ジョッキーも石川騎手でと思っています。

裕明さん
12月4日のチャンピオンズカップは調教師さんからは、今回来日する外国人ジョッキーにオファーしようという打診があったのですが、父に相談しまして、「いや、石川騎手で行く。石川騎手に全てを託す。今まで頑張ってくれたから。」ということで、石川騎手とのコンビで決定しました。
色々な想いを背負って、馬も、騎手も、友道調教師も頑張ってくれるんじゃないかと思いますし、また12月4日は父の「誕生日」でもあるので、きっと勝ってくれるのではないかと思っています。

やはりGI制覇というのは目標の一つでありますか?

一度はやはり、馬主になった以上どういう形であってもGIを取ってみたい。
大きな夢だし、希望ですよね。

オーナーとしての最大の目標はいかがですか?

当座、今度のチャンピオンズカップにとにかく精進していただきたいと。
それから私どもを応援して下さる関係者、期待して下さる皆さん、その期待に応える意味でもですね。
本当にこうして来られたのも、周りの関係者の皆さんが色々と応援してくれ、支援してくれた賜物だと思っておりますし、本当に感謝しております。
この馬はもっともっと期待に応えて頑張ってくれるのではないかなと思います。
ただ怪我だけは、本当にこれだけはつきものなので怪我だけはしないよう、無事に走ってくれる事が一番、最大の目標ですね。

では最後に中山馬主協会さんにメッセージをお願いします。

常日頃、本当に中山馬主協会の会長をはじめ役員の皆さんには、大変お世話になっておりまして、GIIIシリウスステークスを勝たせ頂きました。
いよいよGIに出走と、こうして来られたのも中山馬主協会の皆さんのご支援があったということに非常に感謝しております。
今後ともご支援の程よろしくお願致します。
ありがとうございます。

裕明さん
私も馬主協会の役員を務めさせて頂いておりまして、僕みたいな若造も入りやすく、皆さんいつも優しく声を掛けて下さいますし、冗談を言って頂いたり、アットホームな雰囲気ですね。
スタッフの皆さん、優しく接してもらえてるので、本当に感謝しかないです。
その感謝をどうやって返すかといったら、やはり馬で返すことが一番良いのかなと、勝手に自分の中で思っておりますので、感謝の気持ちに応えられるよう、馬で恩返しさせて頂ければと思います。
これからも頑張って行きますので、宜しくお願い致します。

追記

河合さん、御子息さんで参加頂きましたインタビュー、重賞初制覇のお喜び、余韻はもちろん、ご家族さん一丸となって日々愛馬を大切に想われているということが、ひしひしと伝わって参りました。
またご家族の温かなエピソードと共に、お父さんを心より敬われている御子息さんとの関係性がとても素晴らしいと感じました。

次走のチャンピオンズカップが開催される12月4日は河合さんのお誕生日ということで、ジュンライトボルトと共にメモリアルな1日になりますように、私も応援させて頂きたいと思います。貴重なお時間をありがとうございました。

(インタビュー・文/田中歩)

※この記事は 2022年11月9日 に公開されました。

インタビューアー
田中歩(たなか あゆみ)
茨城県出身。客室乗務員を経てフリーアナウンサーに転身。
現在、グリーンチャンネル「海外競馬中継」など各メディアで活躍中。
父は皐月賞馬ロゴタイプなどを管理した美浦の田中剛調教師。


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