馬事叢論 活動報告、提言など

第7回「砂の王国で日の丸を掲げて」

砂漠の馬王国ドバイを訪れて 第7回「砂の王国で日の丸を掲げて」

今回は、いよいよドバイワールドカップデーのお話です。
〝PICK6〟と〝LUCKY DRAW〟に夫々名前と連絡先を記入し投票箱へ

一行はまず入場ゲートで〝PICK6〟の投票券と〝LUCKY DRAW〟の抽選券を一人につき1枚ずつ受取ります。

ご存知のとおり、イスラム教の戒律によりドバイでは賭事が禁止されており、そのため馬券は発売されていません。この〝PICK6〟と〝LUCKY DRAW〟はそれに変わるものとなります。もちろん掛金はなく当選者には賞金が渡されます。

さて、観戦席に落ち着いた一行は早速〝PICK6〟の検討に入ります。第4レースから第9レースまでの6レースの勝馬の予想(6重勝)と、指定された連続2レースの1着から3着まで着順どおりに当てるもの(三連単を連続2レース)の予想です。

全て一人一点予想ですので簡単には的中することはなく〝宝くじ〟のような馬券ですが、そこは馬券に飢えている一行、真剣な眼差しで予想に入りました。

ところでドバイワールドカップデーとは(ドバイミーティングとも称されています)メイダン競馬場で行われる世界中の一流馬を集め同じ日に複数のグレードレース(この日は9レース)が組まれた、例えるなら競走馬の世界陸上選手権です。

(写真上)ドバイワールドカップの入場ゲート。(写真下)競馬だけでなく、来場者はファッションショーなどイベントを楽しみます 巨大なターフビジョンもフル活動しイベントを盛り上げます

世界的には、アメリカのブリーダーズカップや英国のチャンピオンズデーを筆頭に同様の開催が成果を収めるとともに広がりつつあります。興行的にはテレビの放映権やスポンサーの獲得などメリットがあり、何よりもファンをはじめマスコミの注目度も上がります。

しかし日本では各レースに歴史的云われや競走体系が関わり、簡単には施行日や施行競馬場を変えることは難しく、なかなか実現には至っていませんが世間の注目を集めて売上げを上げる試みとしては今後検討してみる価値はあるように感じられました。

しかし、〝宝くじ〟のような〝PICK6〟と〝LUCKY DRAW〟だけでは多くの観衆を集めることは難しいでしょう。

そのため世界中から集まった観衆を楽しませるためファッションショーなどのイベントが競馬場のあちこちで行われ、盛大な花火の打ち上げ、ディズニーランドのエレクトリカルパレードを彷彿させるようなパレードが繰り広げられ、またスタンドの観衆の頭上に迫る曲芸飛行など、訪れた者を楽しませるホスピタリティの工夫には大変感心しました。

以前にもご紹介しました巨大なターフビジョンも会場の盛上げの重要なファクターであり、これらのイベントの一部としてフル回転の活躍でした。

さて、ご存じのとおり日本から4頭の競走馬がドバイワールドカップデーに挑みました。
その中で当協会会員の田中成奉氏所有のタイセイレジェンド号がドバイゴールデンシャヒーン(GI AW1200m)に、(有)サンデーレーシング氏所有のジェンティルドンナ号がドバイシーマクラシック(GI 芝2410m)に挑みました。

ここで皆さん覚えておいでですか。一行がドバイに到着した夜に行われた懇親会に訪ねてくれた3人のジョッキーのことを。
一行は、大レースを控え大変忙しい時期に訪ねてきてくれた武豊騎手、岩田康誠騎手、幸英明騎手の活躍を祈り手造りの〝日の丸〟で声援を送りました。

残念ながら優勝には至りませんでしたが、きっと我々の声援が届き力を出し切ってくれたことでしょう。

最後に、お待ちかねの〝PICK6〟と〝LUCKY DRAW〟の結果報告ですが、幾多のサプライズとハプニングを巻き起こしたこの一行でしたが、今回は何の歓声も起きることはありませんでした。悪しからず。


2013ドバイワールドカップデーでの日本馬の活躍
第4レース UAEダービー(GII AW1900m)
ケイアイレオーネ号(幸騎手)10着
第6レース ドバイゴールデンシャヒーン(GI AW1200m)
タイセイレジェンド号(R・ムーア騎手)12着 第8レース ドバイシーマクラシック(GI 芝2410m)
ジェンティルドンナ号(岩田騎手)2着・トレイルブレイザー号(武騎手)11着


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