きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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有馬記念の金曜発売オッズが発表されています。あくまで途中経過ということなのでしょうが、ブエナビスタの1.7倍は、そうだろうなぁという感じです。でも、ペルーサの2番人気にはびっくりしました。まだG1未勝利、この秋は負け続けの馬なのですから。

多くのファンから高い支持を受けるのは、実績もそうですが、馬自身が放つ存在感が大きいと思います。ペルーサのデビュー4連勝、鮮やかですし立派ですが、ここまでは歴史を紐解いてみれば良くある話です。

ご承知のように5戦目のダービー以降は出遅れの連続で、勝利の女神からソッポを向かれたままです。馬券を買っている方々にはスタートの瞬間でもう早々と“終戦”というのはたまりませんね。

でも、憎めないところがあります。怒るより笑っちゃう、そんなファンは多いと思います。諦めながら、ひょっとしてと心のどこかで直線の逆襲を期待する、そう思わせてくれる魅力がどこかにあります。

管理する藤沢和雄調教師は有馬記念を3度勝っています。シンボリクリスエスで2度、ゼンノロブロイで1度でした。ペルーサの父であるゼンノロブロイは天皇賞にはじまってジャパンC、有馬記念を3連勝したツワモノです。ちなみに有馬は2分30秒を切る大レコードでした。

シンボリクリスエスは天皇賞と有馬記念を2年連続制覇、とくに引退レースとなった03年の有馬では鬼気迫る走りで史上最大着差の9馬身ぶっち切りという圧巻でした。2000年代の10年間はディープインパクトの印象が傑出していますが、騎乗したオリビエ・ペリエ騎手が絶賛していたように、実力ではクリスエスも遜色のないものがあったと思っています。

この厩舎の偉大な先輩2頭にも負けないほどの能力をこのペルーサという馬は秘めているのだと藤沢調教師は常々語ってきました。10年に1頭出るか出ないか、それほどの素質というわけです。

ここまで惚れ込まれたらゲートでオイタしている場合じゃない、そう思いませんか、ペルーサ君。明日はロケットスタートを決めてくださいね。

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