きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

クラシックへの登竜門

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今週の東京で行われる共同通信杯は、歴史に名を刻むスーパースターを多く輩出してきた名物レースです。
過去の優勝馬にはミスターシービーやナリタブライアン、ジャングルポケット、ナカヤマナイト、ゴールドシップなど堂々たるメンバーの名が見られます。
特に昨年の共同通信杯を制したイスラボニータがその勢いのまま皐月賞を優勝し、日本ダービー2着と春のクラシック戦線で主役級の活躍をしたのは記憶に新しいですね。
それにグレード制が導入された1984年以降の本レース優勝馬31頭のうち、11頭が後のG1を制しており、実に3割の競走馬が、本レースをステップにビッグタイトルを手に入れています。

1969年よりサブタイトルに付けられている「トキノミノル」は1950年にデビューし、10戦10勝(内レコード優勝7回)という成績で皐月賞・日本ダービーの二冠を制した名馬の名前です。
向かうところ敵なしに思えたトキノミノルですが、皮肉なことに日本ダービーを制した17日後に破傷風を患い、急死してしまいます。
トキノミノルの死は一般紙にも取り上げられ、作家の吉屋信子氏が毎日新聞に寄せて「あれはダービーに勝つために生まれてきた幻の馬だ(一部抜粋)」という追悼文を発表し、それから「幻の馬」がトキノミノルの二つ名として定着したのです。

そんなドラマが隠された共同通信杯ですが、今年も飛躍を誓い、クラシックへの道を進む若駒たちが参戦します。

注目はやはり、現状で他馬を一歩リードしているアヴニールマルシェでしょうか。
新馬勝ち後の新潟2歳Sでレコード勝ちしたミュゼスルタンとハナ差の2着に好走、次走の東京スポーツ杯2歳Sでもサトノクラウンにクビ差2着の接戦を演じ、惜敗ながら父ディープインパクトの能力を受け継いだ大物であることは間違いなさそうです。

他にもアンビシャスやソールインパクト、リアルスティール、ティルナノーグら同じディープインパクトを父に持つ兄弟たちが待ち受けます。
それに現3歳世代が初産駒となるハービンジャーの仔も出走予定で、産駒のベルーフが京成杯(G3)を勝ったのもつい先日の事。
生産界で勢力を拡大し続けるディープインパクト帝国に対し、新勢力の力がどこまで対抗していけるのか楽しみでもありますね。

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