きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらっしゃいませ。

2週間後に迫ったジャパンCの外国馬の顔触れが揃いました。国際競走の嬉しいのは、馬もやって来れば人もやって来るところにあります。高い見識を持つ一流のホースマンの話を聴く機会が増えるのは、とてもラッキーな気分です。今回でいえば、トレーディングレザーのジム・ボルジャー調教師のコメントが楽しみです。ご承知のように競走馬の距離適性を科学的に追求するミオスタチン遺伝子分析法をダブリン大学のチームと共同で研究開発した学究肌の先駆的トレーナーです。日本でも最近はこの分析法のお世話になる馬が増えているようです。

来日馬トレーディングレザーはガリレオ系のテオフィロ産駒です。ガリレオと母父デインヒルの配合の最初の大成功馬ですね。アイルランドではガリレオ成功の最大の功労者の一人とクールモアも一目置く存在として尊敬されています。ボルジャー師はこの馬の生産者兼調教師で、かつ馬主名義は夫人です。いわばオーナー・ブリーダー・トレーナーとして先端的な血統実験に取り組んできました。ダービー馬ニューアプローチのときは、それに加えて厩務員までご自身で担当したそうです。馬が好きで好きでたまらない方なのでしょう。

父ガリレオ、母父モンジュー、つまりサドラーズウェルズ3×3と常識を超えた近親配合馬でG1を勝ったこともあります。最近の注目はルシーダという2歳牝馬。所有権はパートナー関係にあるゴドルフィンに譲りましたが、父がストームキャット系ジャイアンツコーズウェイ産駒のシャマーダルで、母父がストリートクライの血統です。シャマーダルの母ヘルシンキはストリートクライの全妹ですから、全兄妹2×2のウルトラ近親配合です。でも考えてみれば、サラブレッドはこうしたボルジャー師のような先駆的な革新者たちの挑戦の中で改良され発展を遂げてきました。ルシーダはG2を勝ち、G1で2着しています。走る馬のようです。注目しておいてください。

×