きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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ヨーロッパのG1レースの醍醐味は因縁の糸の複雑な絡み合い、そういった側面が色濃いのは否定できません。一握りの大馬主たちが名馬を創り出し、あるいは買い集め、それを名調教師に管理させ、一流騎手を騎乗させる、そんな構図が競馬社会にしっかりと根を下ろしています。レースの質を高いレベルで保持するには効果的なシステムですね。いにしえの王侯貴族たちが、俺の馬が速い、いや負けるものか、馬比べをしたのが競馬の起源だと言われていますが、その伝統は現代にも引き継がれているようです。

そんなわけで南仏ドーヴィルのG1ジャックルマロワ賞にも大オーナー所有の名うてのマイラーが顔を揃えました。ドーンアプローチはゴドルフィン所属のエースマイラーです。そのドーンをサセックスSで打倒したトロナドのオーナー、カタールのジョアン殿下は僚馬オリンピックグローリーをこの夏の大一番に送り込んできました。

シャネルのオーナーとして有名なヴェルテメール家は歴史的名牝ゴルディコヴァを世に送り、昨年の凱旋門賞ではソレミアがゴール寸前でオルフェーヴルの野望を砕きました。ここはオリビエ・ペリエ騎乗のインテロに期待を寄せます。

クールモアとオブライエン軍団はクイーンアンSの覇者、デクラレーションオブウォーにライアン・ムーア騎手ですね。牝馬G1を連勝中のイリューシヴケイトは吉田照哉さんの愛馬。広くスポーツ界に貢献をするストウロウブリッジさんはフレディ・ヘッド調教師のムーンライトクラウドで勝負します。1週間前にモーリスドゲスト賞1300mを勝ったばかりでここ連闘。騎手としてミエスク、調教師としてゴルディコヴァ、2頭の歴史的名牝を栄光に導いたヘッド師の腕の見せ所です。

結果はご存じの通りムーンライトクラウドが素晴らしい切れ味を発揮して抜け出しました。これでG1レースは5勝目ということになります。スプリントレースからマイルまで、日本でいえばロードカナロアをイメージさせてくれます。この後は凱旋門賞当日のフォレ賞1400mを目標に、場合によっては暮れの香港マイルにという話もあります。ひょっとしてロードカナロアとの対決が実現しないかな。

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