きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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世界のどれくらいの国で競馬が行われているかというと外国馬出走の壁がなく賞金、レースの質が担保されているいわゆるパート1国が日本も含めて16カ国、その下のパート2が9カ国、パート3が16カ国でおよそ41カ国が国際的に認知されている競馬開催国になります。パート1国のサラブレッド及びパート2以下でも国際競走と認定されるとセリ名簿でブラックタイプの使用が認められます。

しかしお国柄も様々なら競馬観もそれぞれです。もともとこうした国際基準は競馬先進国であるイギリス、アイルランド、フランスが協議して始めたものです。当然、ヨーロッパ中心の考え方に基づいています。たとえば年度代表馬などを決めるカルティエ賞は当地の平地シーズンが終わる10月に選考が進められ、11月初旬のブリーダーズCを待って決定されています。日本のジャパンC、有馬記念、香港国際競走などは選考対象に含まれていないのが実情です。パート1国(香港はパート2)は等しく評価されるべきなのに、世界は自分たちを中心に回っていると考えているのでしょうね。

賞金目当てでないのら評価の対象外のアジアにやって来ようというヨーロッパの一流馬はいないというのも当然の結果です。この差別的な評価制度は地元ヨーロッパでも問題になっています。先だっての香港スプリントを快勝したロードカナロアは『ブラックキャビアに匹敵する世界チャンピオン級の走り』と海外メディアが絶賛するにもかかわらず国際レーティングに反映されないのはアンフェアだと主催者を批判しています。有馬記念のオルフェーヴルも高評価されて当然の走りでした。これは競馬の国際化が進む中で日本の馬主、生産者などにとって極めて重要な課題であろうと考えるべきでしょう。自分たちの愛馬が正当に評価されないのではやり切れません。明治時代に日本の元勲たちが欧米列強との不平等条約解消に心血を傾けたような戦いがJRAにも待っているのでしょうか。

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