きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらっしゃいませ。

キョウエイプロミスをご存じでしょうか。ジャパンC史上、日本馬で初めて馬券になった馬です。負けて、負けて、掲示板の片隅が精一杯で、勝ち負けになるのは何十年先のことかと日本人ホースマンの方々が暗い気分に捉われていた時代です。

そして迎えた第3回ジャパンC、『あなた方のお相手は私たちが務めます』その年の三冠馬ミスターシービーがなぜ出ないのだ?という海外報道陣の質問に高松三太調教師と柴田政人騎手は、日本で一番強いのは天皇賞馬キョウエイプロミスなのだと自信と気概をみなぎらせて答えたと伝えられています。

言葉どおりプロミスは信じられない激走を披露します。スタネーラ、エスプリデュノール、ハーフアイストなどと長い直線を叩き合いスタネーラにアタマ差のゴールでした。能力を超えた頑張り、そういう風に映りました。観客に大きな感動を与えた代償にキョウエイプロミスは骨折し、馬運車に載せられ競馬場を去っていきました。

ジャパンCは単なるG1レースではなく、国の威信やホースマンの誇りをかけた戦いだったのです。だから天皇賞馬は当然のように出走してきたのですが、その後はマイルチャンピオンシップなどに回るケースも増え、天皇賞馬がJCをも戴冠したのはプロミスから16年後、第19回のスペシャルウィークが最初でした。その後、テイエムオペラオー、ゼンノロブロイが勝ち、その年の秋天勝ち馬のJC実績は、3-3-4-9となっています。

さて、今年は牝馬ブエナビスタが史上4頭目の偉業に挑みます。天皇賞という日本人には愛着の深いレースの価値をさらに高めるためにも頑張ってほしいですね。それから天皇賞、JCを勝ちながら有馬でハナだけ負けて年度代表馬になりそこねた父スペシャルウィークの無念というより残酷な結果を晴らすためにも。

×