きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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1974-06-16日、今から38年前のシャンティ競馬場、オークスのゴールを1頭の黒鹿毛が先頭で駆け抜けました。イギリスからきたその馬は女王陛下の勝負服をまとい、古城にちなんでハイクレアという馬名がつけられていました。後にディープインパクトの曽祖母となるサラブレッドです。

今日、といっても日本時間で夜の11時ですが、ハイクレアの血を引くディープインパクト産駒、ビューティーパーラーが4戦4勝と無敗のままでスミヨン騎手を背に二冠制覇に挑みます。

近10年間で4年連続7頭が無敗のままオークスを制しています。同世代同士なら無敗馬には一目も二目も置くべきでしょう。中でもグロット賞(ロンシャンG3芝1600m)、1000ギニーのローテーを連勝してきた馬は05デヴァインプロポーションズ、08ザルカヴァ、昨年のゴールデンライラックと歴史的名牝がオークスを戴冠しています。王道ですね。ビューティーパーラーもまたこの道を歩んでいます。

オッズは1.8倍前後と圧倒的な1番人気に支持されています。ライバルはアイルランドからやって来たキスド、エイダン・オブライエン厩舎のこのガリレオ産駒は2戦2勝と底を見せておらず破壊力満点の末脚が魅力、半兄が昨年の英ダービー馬プールモアという良血です。

同じガリレオ産駒でオブライエン厩舎のアップは仏1000ギニーでビューティーパーラーの2着した馬ですね。鞍上はキスドがオブライエン師の息子ジョセフ、アップはライアン・ムーア騎手と強力な布陣を敷きました。

このレース6勝のアガ・カーン殿下の今年の切り札はダルカラ。祖母の兄弟にG1を7勝のデイラミ、凱旋門賞馬ダラカニとアガ・カーン家ゆかりの良血馬です。殿下は前哨戦サンタラリ賞を勝ったサガワラも出走させますが、主戦ルメール騎手はダルカラの方に騎乗します。

ヴィルデンシュタイン家のビューティーパーラーに対してクールモア=オブライエン軍団、アガ・カーン殿下勢、こんな構図が今年の仏オークスの形勢のようです。別の観点から見れば、ビューティーの父ディープインパクト、キスドのガリレオ、ダルカラのジャイアンツコーズウェイ、それぞれ日欧米のチャンピオンサイヤーですね。種牡馬世界一決定戦、そんな色合いも見てとれます。

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