きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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毎年宝塚記念の季節を迎えると、歴代の名勝負に加え今や都市伝説にもなるあるエピソードを思い出すファンも多いのではないでしょうか。

2003-06-28日。土曜日。宝塚記念の前日発売が行われていたこの日、ファンの多くは不思議な光景を目の当たりにし驚きました。皐月・ダービーを制し秋には三冠を狙うネオユニヴァース、アラブ、香港、名古屋と転戦し府中で復活したアグネスデジタル、有馬記念で頂点に立ち現役最強馬となったシンボリクリスエス、春の始動から2連勝し充実一途のタップダンスシチー、G1 2着つづきで戴冠へ執念を燃やすツルマルボーイと、「日本版キングジョージ」と呼ぶに相応しいメンバーが集う中、お昼ごろに表示されたそのオッズでは、実力が軽視されていたある1頭のG1馬が圧倒的な1番人気に支持されていたのです。

翌日の紙面でその謎が明かされました。安田記念の単勝馬券を手にしたひとりの中年男性がふらりとウインズ新橋へ現れ、払戻となった1222万円をそっくりそのままヒシミラクルの単勝に賭けたのでした。

レースは直線手前で有力馬が進出し、ファンの想像を超えた直線での激闘の末、ヒシミラクルがツルマルボーイを振り切りドリームレースを制覇します。最終オッズは単勝16.3倍、6番人気。1億9918-060-0円の払戻を撮影しようとした週刊誌もそのおじさんの姿を捉えることはできず、「ミラクルおじさん」と呼ばれた男性は、その後伝説として語られるようになりました。

今年の宝塚記念は、有力馬が揃い上位人気が拮抗しそうです。ミラクルおじさんなら、どの馬に夢を託すでしょうか。

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