きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今日は秋のG1シリーズ開幕戦スプリンターズSがメインです。一気呵成の電撃戦とはいえ中山名物・直線の急坂が、最後の最後で韋駄天たちに立ちふさがり苦しめます。このレース最高のクライマックス、たっぷりお楽しみください。

さて、G1に格付けされた1989年以降の傾向を考えてみると、90年代は12月開催に組まれていたこともあり、実りの秋を挟んで急成長した3歳馬が大活躍したものです。ニシノフラワー、ヒシアケボノ、タイキシャトル、マイネルラヴ、特徴的なのは、フラワーは持ち込み馬、他の3頭はいずれも外国産馬だったことでしょうか。なんだかスプリンターズSの将来を暗示するような結果です。

2000年代に入ると現在の時期に開催が移され、この時期に3歳馬が古馬に太刀打ちするのは難しく、唯一勝ったのは07年のアストンマーチャンのみでした。代わりに台頭したのが海外勢。05年に香港のサイレントウィットネスが好位をあっさり抜け出し、翌年はオーストラリアのテイクオーバーターゲットが並み居る日本馬を完全に蹴散らしてしまいました。海外というとヨーロッパやアメリカにばかり気を取られますが、アジア・オセアニアでも一流馬が来ればかなわない。そんな構図がこの頃から明らかになってしまったようです。

2010年代最初のスプリンターズS、これからの10年間はどんな流れになるのでしょうか。今回の登録時点では、オーストラリアからアイルランドへ転厩してゴールデンジュビリーS、ジュライCと2つのG1を制し欧州No.1スプリンターを戴冠したスタースパンクルドバナー。ドバイゴールデンシャヒーンを勝ったキンセールキングはアメリカのトップスプリンターです。ゴールデンシャヒーン2着のロケットマンはシンガポールの星として人気があり期待を集めています。なんだか世界スプリント選手権のような顔ぶれですね。

残念ながら実現しませんでしたが、10年代の潮流はこの延長線上にありそうな気がします。

昨日のレッドディザイア、今日のナカヤマフェスタ、ヴィクトワールピサと日本馬が普通に海外遠征する時代になりました。日本馬が行くということは、海外馬が来るということです。国際交流とはそういうことだろうと思っています。前日発売の1番人気は香港のグリーンバーディーです。ファンも来るべき時代の潮流を察知しているのでしょう。

中山競馬場の重賞ドキュメント『NAKAYAMA 24』でもスプリンターズSを取り上げています。そちらものぞいていただければうれしいです。さあ、今夜は凱旋門賞、ナカヤマフェスタを応援します。

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