きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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日本のスプリント戦線の停滞が憂慮されて久しいのですが、作家の山野浩一さんは馬場の問題を取り上げています。高度に整備された馬場での短距離戦は実力差が出にくく、枠順や展開、位置どりなどに勝負が左右されやすいのだ、と。これが中長距離になると、さすがに実力差が明らかになり、世界に通用するような馬が出現したりするのですが、高速馬場のスピード争い一本槍のスプリント戦では最後の底力に関係なく勝負が決しがちになるという指摘です。

確かに向こうの馬はブラックキャビアやフランケルのように勝負どころからグーンと伸びる加速力がケタ違いです。短距離でも中長距離でも同じ現象が見られます。フランケルが12連勝を決めたサセックスSは4頭立てで単勝は1.05倍でした。これでは馬券が面白くありません。実力差を出にくくさせてどの馬にもチャンスがある状態、これが馬券マーケティングにとってはある種、理想ですね。こういう論法も理解できないことはありません。難しい問題です。時間をかけて議論しなければならないでしょう。

さて、明日の北九州記念には栄進堂さんが所有するエーシン軍団が大挙して4頭をゲートインさせます。快挙ですね。日本スプリント界の特殊性を研究し尽くした結果だと思います。オーナーの平井豊光さんのエイシン軍団も含めて、長い時間をかけてアメリカやオーストラリアなどに世界の血を求め、日本の馬場で能力を全開するサラブレッドを追求してきました。北九州記念はそうした努力の集大成かもしれません。ヒットマン、ダックマン、リジル、ヴァーゴウ、エーシン軍団4騎の走りに注目したいと思います。

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