きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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大井競馬場のトゥインクルレースが再開されます。自家発電を活用して全体では35%の節電になるそうです。暑くなりそうな今年の夏、競馬観戦で夕涼みは嬉しいですね。

さて、明日の天皇賞の前売りオッズはトゥザグローリーが4倍を切るくらいで1番人気、4倍台のローズキングダムが続いて、ちょっと離れた8倍台にエイシンフラッシュとペルーサ、やはりと言うべきか4歳四天王に支持が集まっています。

フランスからやって来てくれたジェントゥーは7番手あたりです。今回はドミニク・ブフ騎手が手綱をとることになります。ブフ騎手はフランスリーディングに4回輝いている名手ですが、その生涯は波乱万丈、とにかく話題に事欠かない人です。

84年に騎手デビューして見習い騎手賞を受賞、その後も順風満帆と思えるジュッキー人生に見えました。しかし94年に麻薬密売で逮捕されるという大アクシデント。減量に苦しんでのことか事情はよく分かりません。シラク大統領など周囲の支えもあって復帰した彼は、再び輝かしいトップジョッキーの座を守り続けます。

ところが仏ダービーのエリシオの騎乗をめぐってオーナーと大もめになり主戦の座を失ってしまいます。オリビエ・ペリエ騎手に乗り替わったエリシオが連勝街道を走り凱旋門賞を制覇したのはご存じのとおりです。ちなみに大レースを勝ちまくっているブフ騎手、いまだに凱旋門賞とだけ縁がないのは皮肉なものです。

でも、簡単には折れないのがブフ騎手の真骨頂。フランスを代表する大オーナーブリーダーであるヴィルデンシュテイン家と主戦契約を結び快進撃を再開します。しかしここでもオーナー家ともめ事を起こし、主戦の座はペリエ騎手に移ってしまいます。まぁ、ブフ騎手が個性的であることは間違いがないのですが、こうした鞍上交代は欧米では珍しくないようですから、“変人奇人”扱いするほどのことはないのかもしれません。

ブフ騎手は今回で3回目の来日になります。最初は90年のジャパンC、人気薄のオードを2着に持ってきました。この前は03年のマイルチャンピオンシップ、8年ぶりの日本のターフということになります。今もフランスリーディングの上位を争っている腕達者ですから、ゆめゆめ油断はできません。個性派の個性的な騎乗を存分に見せてほしいものです。

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