きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今週は“中山名物”オールカマーの歴史にさん然と輝く名馬たち、そのエピソードの数々をお伝えしています。今日はこの馬を抜きにしてはオールカマーを語れない、このレース3連覇の偉業を成し遂げたマツリダゴッホのお話です。

彼は2003年生まれのサンデーサイレンス産駒、偉大な父のラストクロップ(最終世代)であり、現在までのところ最後のG1ホースとして名を刻んでいます。

サンデーサイレンスの活躍馬は極上の瞬発力を持ち味に大レースで華麗な切れ味を披露するタイプが多いのですが、この馬はどちらか言えば良い脚を長く使えるのが特徴でした。母の半弟にナリタトップロード(父サッカーボーイ)がおり、やはり持続力型で菊花賞など数々の勲章を手にしています。ただしこの馬は大跳びで小回りの中山は大の苦手でした。血統だけでは分からないことも多いものです。

さて、叔父とは逆に甥のマツリダゴッホは、《有馬記念以外のG1も中山でやってもらうようにお願いしようか》と国枝栄調教師が思わず漏らすほどの中山巧者でした。生涯10-2-1-14の成績が中山に限れば8-1-1-3のハイアベレージ。うちG1有馬記念、G2は5勝と重賞を6勝もしています。国枝調教師のつぶやきも良く分かる気がします。

中でもオールカマー3連覇は不滅の大記録でしょうね。走るたびに強くなる、そんな印象が強烈に残っています。4歳時は中団から早めに進出して半馬身の押し切り、5歳時は好位追走からあっさり抜け出すと2馬身差の快勝、6歳時は逃げを打ちドリームジャーニー以下に2馬身差の完勝、時計も走るたびにつまっていきました。相手が走ればそれ以上に走る、コース巧者のお手本でした。

中山2200mは競走中止のセントライト記念以外は4戦4勝、もし有馬記念がこの距離だったら、こちらも3連覇していたかも。そういう想像が荒唐無稽な妄想と思えないほど、中山外回り2200mでは異次元の走りを見せてくれました。さて、今年はそんな馬がいるんでしょうか。明日はそのあたりを考察してみたいと思います。

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