きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

コロナ禍と取り違え事件

10月16日は、岡田 祥嗣 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

馬のすり替えや取り違えは、競馬ミステリーではお馴染みのテーマですが、先週のニューマーケット競馬場で現実にそんな事件が起きました。G1フィリーズマイルに出走したエイダン・オブライエン厩舎のディープインパクト産駒スノーフォールとゾファニー産駒マザーアースが、それぞれ逆の馬として走ってしまいました。その背景には、終わりの見えないコロナ禍の存在が横たわっていたようです。

ヨーロッパでは国境を越える移動については、2週間の自主隔離が義務付けられており、遠征には大きなリスクが伴います。このため頻繁に遠征する大手厩舎はチーム分けをして、厩務員などスタッフを現地に張り付かせているようです。ジョッキーも同様で、現地騎手を中心に臨時にチーム編成して対応しています。海外遠征に世界一熱心なクールモアとエイダン・オブライエン厩舎を例に取ると、厩舎スタッフは地元アイルランド担当チームとイギリス担当チームで手分けして検疫リスクを最小限にとどめ、エイダン・ジョセフ・ドナカの親子厩舎の緊密な連携も心強い武器になっちるようです。

騎手は、セカンドジョッキーのシーミー・ヘファーナンをリーダーとする専属騎手チームがアイルランドに居残り、ライアン・ムーアはイギリスに滞在して、現地のランフランコ・デットーリ、ウィリアム・ビュイック、ジェームズ・ドイルなど、またフランスではミカエル・バルザローナなど錚々たる顔ぶれのサポートを受けながら、多頭数使いをこなしています。クールモア、さらにオブライエン厩舎のブランド力たるや驚くべし!です。これらを見る限り、万全のコロナ禍シフトと確信できたのですが、綻びはどこに潜んでいるか分からないものです。フィリーズマイルの当日、問題の両馬の担当厩務員はアイルランド居残り組、エイダンは凱旋門賞緊急取消トラブルの事後処理 もあり ニューマーケット競馬場には不在だったようです。実馬を知る人が現場に誰もいなかったことが生んんだ悲劇でした。コロナ禍で積み重なった不運は気の毒でしたが、どこかに傲りがなかったとは言えません。ホースマンとして謙虚な自戒が必要でしょう。

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