きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

幻の凱旋門賞馬

9月25日は、白浜 雄造 騎手、長岡 禎仁 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

1週間後に迫った凱旋門賞。ラヴ2.5倍、エネイブル2.8倍、3番手以下は15倍以上と、イギリスの大手ブックメーカーの凱旋門賞オッズは「牝馬二強」のマッチレースを予想しています。オッズの差は、3歳ラヴ55キロ、6歳エネイブル58キロの斤量差であり、実力はガップリ四つ!という見立てなのでしょうか。それはさておき、先週末にヨーロッパ各地を縦断して行われた凱旋門賞のトライアル・ウィークエンド。ドイツを代表する名レースG1バーデン大賞を快勝したのはバーニーロイという馬でした。

早くから素質を評価され、G1セントジェームズパレスSを勝ち、3歳時一杯でいったん引退、世界の名門スタリオンの頂上を争うゴドルフィンの殿堂ダルハムホールスタッドに種牡馬として迎えられたほどの馬です。しかし不幸にも受精率が低いなど種牡馬失格の烙印を押され、去勢手術を経てゴドルフィンの主戦ステーブルとして名を馳せるチャーリー・アップルビー厩舎で現役復帰!アップルビー師の慎重にして細心な復帰プログラムが功を奏して、今季の充実ぶりは素晴らしく、ドバイのG1ジェベルハッタ、ドイツでダルマイヤー大賞、バーデン大賞とG1を連勝するなど一躍ヨーロッパ中長距離路線で僚馬ガイヤースを追う存在へと頭角を現して来ました。当然、凱旋門賞でも制覇圏内をうかがえる実績です。

しかし凱旋門賞は、ご承知のように仏国産馬の世界最強化戦略の一環として創設された「繁殖馬選定レース」であり、そもそも繁殖から疎外されている騸馬には出走資格が認められていません。ヨーロッパにあって、フランスは他国以上に騸馬規制が厳しく出走機会を求めてイギリスなどへの遠征が一般的になっています。最近でも、フランスが産んだ名騸馬のシリュスデゼーグルやソロウは世界を転戦しながら勝ち星を積み上げています。華やかな凱旋門賞の影で、こうした馬たちの存在も忘れられません。

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