きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 宝塚記念

先週は、春のGIの総決算、グランプリ・宝塚記念が行われました。GI馬が8頭出走した豪華なメンバーの中、優勝したのは昨年の牝馬クラシックでも活躍したあの馬でした。覆面歌人の京雅さんからは、この宝塚記念の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを解読してみてください。(メッセージの答えは最後に)

宝塚記念 京雅

梅雨に咲く
気迫で駆けろ
ハナ前の
なんと鮮やか
駿馬抜け勝つ

隠れたメッセージは「つきはなし くろのかつ → 突き放し クロノ勝つ」です。
梅()雨に咲く(
気()迫で駆けろ(
ハ()ナ前の(
な()んと鮮やか(
駿()馬抜け勝つ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
早朝まで降っていた雨も1レースが始まる頃には止み、さらに宝塚記念の発走約2時間前の7レースには、既に良馬場で芝のレースが行われ、このまま梅雨の晴れ間でGIを迎えられるかと思われた矢先、仁川に再びまとまった雨が降りました。この雨が全てではありませんが、優勝したクロノジェネシスは、渋る馬場で結果を出しており、恵みの雨になったことでしょう。一騎楽な手応えで直線に向き、他馬が苦戦する馬場を経験と気迫で駆け抜けて、鮮やかに抜け勝ちました。
後続につけた差は6馬身。ハイセイコー、ビワハヤヒデなどの持つ5馬身差の記録を塗り替える宝塚記念の最大着差というおまけ付きの快勝でした。デビューからコンビを組む北村友一騎手も「本当に強かったです。馬場や周りの馬を気にせず、自分の馬だけを信じて乗れば良いと思っていた」とコメント。

思い返せば、昨年も牝馬リスグラシューが3馬身差の快勝。アーモンドアイも牡馬相手に多くのGIを獲得しており、近年は本当に牝馬の活躍が目立ちます。無敗の牝馬二冠馬デアリングタクトも登場したことで、まだまだ牝馬の活躍は続きそうですが、牡馬の総大将になりうる無敗の二冠馬コントレイルが、彼女たちと対決する日が今から楽しみです。できれば、それが地元・中山競馬場で行われる暮れの有馬記念であれば、当協会としては嬉しいことこの上ないですね。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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