きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 桜花賞

先週は、阪神競馬場で牝馬クラシックの初戦・桜花賞(GI)が行われました。今年は雨でぬかるんだ馬場の必死で駆ける姿が印象的でした。覆面歌人の京雅さんも、この泥だらけの決戦・桜花賞を和歌に詠んでくださいました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

桜花賞 京雅

追え外さ
猛馬豪脚
馬場桜
抜群女傑さ
仁川ハナ咲く

隠れたメッセージは「おもばばに さくらさく → 重馬場に 桜咲く」です。
追()え外さ(
猛()馬豪脚(
馬()場桜(
抜()群女傑さ(
仁()川ハナ咲く(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
朝から雨が降り続いた仁川・阪神競馬場。雨・重馬場・泥跳ね、という過酷な条件で駆け抜ける乙女たちの背景には、先週から見ごろを迎えた桜が鮮やかなコントラストとなっていました。雨の桜花賞は、1997年以来、23年ぶり。8枠のキョウエイマーチが2番手から抜け出し見事勝利。差し脚急追のメジロドーベルは2着に敗れる、そんな一戦。
今年も8枠のレシステンシアが2番手から抜け出す。歴史は繰り返すのか・・・そう予感させた時、2番人気のデアリングタクトが外から猛馬・豪脚一閃。最後の50m付近で捕らえきりました。
デアリングタクトはこれで3戦3勝。3戦目での優勝は1980年のハギノトップレディ以来、40年ぶり。無敗での勝利は2004年のダンスインザムード以来、16年ぶり。記録ずくめ優勝は、まさに抜群女傑!雨の仁川・デアリングタクトのハナ先に「桜花賞優勝」という花が咲きました。

デアリングタクトの鞍上は松山弘平騎手。JRA・GIは2017年皐月賞のアルアインに次いで2勝目。今年は絶好調で、桜花賞前日の阪神牝馬ステークスでは、サウンドキアラを重賞3連勝に導いており、日曜日終了時点で、今年40勝のリーディング4位につけています。昨年は91勝とわずかに100勝の大台に届かなかったですが、今年はそれを上回る年間120勝ペースで勝ち星を重ねており、今後の活躍にも注目です。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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