きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 高松宮記念

先週は、高松宮記念が行われ、JRA創設以来初となる、無観客競馬でのGIが開催されました。覆面歌人の京雅さんからは、この高松宮記念の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

高松宮記念 京雅

最高の日
異例混戦
その群馬
苦闘制すも
ハナ華あらず

隠れたメッセージは「さいそくは ひんばもず → 最速は 牝馬モズ」です。
最()高の日(
異()例混戦(
そ()の群馬(
苦()闘制すも(
ハ()ナ華あらず(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
GIという最高の舞台にこの日集まったのはフルゲート18頭。新型コロナウィルスの影響でJRA創立以来、初となる無観客競馬でのGI開催という異例の事態で行われました。1番人気に支持されたタワーオブロンドンも前走は3着に敗れているなど、群雄割拠の混戦模様。その群馬から抜け出し、ハナ先を揃えてゴール板を先頭で駆け抜けたのはクリノガウディーとモズスーパーフレアの2頭。電光掲示板には青い審議のランプ。無観客競馬の競馬場のみならず、テレビの前も静寂に包まれていたでしょう。約17分に及ぶ審議後、これまた異例の降着での決着。関係者の複雑な表情がテレビ越しでも感じられましたが、不利を受けながらも懸命に粘り切ったモズスーパーフレアは、この日の最速馬・快速牝馬で、誰も疑う余地のない素晴らしい激走でした。
ただし、無観客競馬の影響で、GIにも関わらずファンの声援がなく、ハナ前での口取り、表彰式のいずれも無く、GIの華やかさが感じられない点が寂しげに映りました。

結果こそ審議の末の降着となりましたが、直線での4頭必死の戦いは春のGI開幕戦に相応しい激闘でした。競走馬、騎手、調教師、馬主などの関係者、そしてファンの皆様とこの素晴らしい光景を共有できる日がいち早く来ることを改めて願っております。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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