きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

最良のシナリオ

4月24日は、今野貞一 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

昨日、JRAは5月末までの無観客競馬の続行を発表しました。従って今年はオークスもダービーも無観客で行われます。アメリカでは早々とケンタッキーダービーの延期が決定され、前哨戦の実施もママならない状況で、5月2日に予定されているG1アーカンソーダービーには大挙99頭がエントリーするなど混乱が続いています。ロックダウンが続く競馬発祥の地イギリスですが、このほどBHA(英国競馬統括機構)がクラシック開催に向けての「最良のシナリオ」を提案しています。それによれば6月上旬に開幕戦の2000ギニーと1000ギニーを行い、7月上旬にオークス、ダービーを開催するというものです。

1780年に創設され、昨年の第240回まで1度たりと休止することなく伝統を積み重ねてきました。ただし第1次世界大戦の1915〜18年の4年間と第2次大戦の1940〜45年の6年間の計10回はニューマーケットに移設して「ニューダービー」の別称で実施した苦難の時期もありました。これだけの歴史を紡いできたレースですから、そのあり方についてはホースマンを中心に議論百出、異論反論も飛び出して混沌を極めています。

アンドリュー・ボールディング調教師はニューダービーの故事を援用して「ダービーだけは何としてもやりたい」ホースマンの気持ちを代弁しています。サーパーシーでダービートレナーに輝いているマーカス・トレゴニング師は「毎年決まった時期に同じコースで施行してこそ、競馬すべての評価基準ともなるダービーの存在価値がある」とこれも納得の正論を述べています。ライアン・ムーア騎手は「個人的には、時期はともあれエプソム以外のダービーを見たいとは思わない」とエプソムダービー愛を語ります。BHAが提案する「最良のシナリオ」には、多分に「希望」も入り混じっているのでしょうが、こんな未曾有の緊急時だからこそ、「希望」とその実現に向かって全ホースマンが力を合わせることが必要なのかもしれません。

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