きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港ヒロイン&ヒーロー候補

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来月8日にシャティン競馬場で1日に4つのG1レースを挙行する香港国際競走の選出馬が決定しました。日本馬は4つのカテゴリーすべてに11頭が出走しますが、日本、海外という枠を超えて今回のヒロインは日本馬アーモンドアイが務めることになりそうです。香港リーディングジョッキーのザック・パートン騎手は「物凄いニュースだ。彼女を生で再び見られるなんて!」と興奮気味にツィートしています。今春のドバイターフで一緒に走り、彼女の強さや素晴らしさを肌で知る名手の、最大の敬意を込めた歓迎のメッセージに心が暖まる思いです。イギリスのブックメーカーオッズでは1.33倍と圧倒的人気に支持されているヒロインですが、ここへ来て何だか周辺がザワついてきました。

というのは、イギリスとアイルランドのチャンピオンSを連勝してエネイブルと年度代表馬の座を争うかと思われていた実力牝馬マジカルが、引退表明から一転して香港カップにエントリーしてきたからです。2000m級の中距離部門では牡馬をさしおいて、アーモンド124ポンド、マジカル122ポンドと牝馬がレーティングのワールド1-2を独占しています。世界の中距離チャンピオン同士が激突することになります。アーモンドにとっても楽観できる相手ではないでしょう。エイダン・オブライエン調教師は登録はしても、最後の最後まで馬の状態を見極めて出否を決断する慎重派ですから、マジカルが本当にシャティンのターフに姿を現すかは五分五分でしょうが、風雲急を告げる情勢になってきたのは間違いがないでしょう。

スプリントは地元香港勢が断然の優位を誇るカテゴリーですが、日本からはダノンスマッシュが出走します。まだG1に手が届いていない馬ですが、スプリントG1が施行される中山や中京は直線に急坂が待ち構えており、平坦コースを得手とするこの馬にはハードルが少し上がります。シャティンは平坦の上、スマッシュ得意の洋芝仕様。相手は強いですが、能力を発揮できる舞台なのも確かです。父ロードカナロアに続いて父子制覇を実現し、ヒーローにのし上がるチャンスがゼロではないかもしれません。

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