きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

リーディングサイアー

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ご存じのように競馬発祥の地イギリスでは、平地シーズンはG1戦が開幕する5月初頭の2000ギニーに始まり、10月中旬のブリティッシュチャンピオンSで幕を閉じます。ヨーロッパ主要国もほぼ歩調を合わせて、各種リーディングや年度代表馬を争うカルティエ賞の選考なども、伝統的にこの期間が対象とされています。中山競馬場を舞台に金杯で始まり有馬記念が終わらないと、その年の競馬が終わった気がしない日本風感覚とは随分と違っています。ヨーロッパの競馬人気を二分する障害とメリハリをつける意図もあるのでしょうが、逆に今くらいの季節からグランドナショナルが行われる翌春4月までは障害シーズンとされています。気が早いようですが、今シーズンを振り返って、今日はリーディングサイアーの話題です。

交流が盛んなイギリスとアイルランドは、生産から競走まで広い領域にまたがるリーディングサイアー部門は一括で集計されます。ことし英愛チャンピオンサイアーに輝いたのは帝王ガリレオです。2位の半弟シーザスターズに獲得賞金で3倍近い大差をつけて悠々のゴールインでした。これで10年連続、通算では11度目の戴冠です。産駒のヴァルトガイストが高額賞金の凱旋門賞を、ジャパンがパリ大賞を制したこともあり、フランスでも2度目となるリーディング首位の座を譲りませんでした。父サドラーズウェルズの英愛14回、仏3回の大記録の背中がクッキリと見えてきました。ガリレオの強さは、2歳戦から良く走り、クラシックに滅法強く、そこからもさらに古馬相手のビッグレースでも底力を発揮する成長力の豊かさにあります。牡馬、牝馬を問わず頑健に走り続ける健康さも大きな武器ですね。

年が明ければ19歳の高齢ですが、クールモアスタッドでプライベート種牡馬として大事に遇されていますから、まだまだ元気です。順調ならサドラーズウェルズ超えは十分に可能でしょう。しかもブルードメアサイアーとして、また後継種牡馬もフランケルをはじめ、エネイブルを出したナサニエルなど目覚ましい実績を積み上げています。これから先も長い間、ガリレオの影響力は世界を覆い尽くしていくんでしょうね。ただ日本だけがカヤの外というのが気になって仕方がないのですが。

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