きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

白熱!ヨーロッパ2歳戦線

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今年ヨーロッパ2世代からは、ピナトゥボという怪物が誕生しました。2週間ほど前にアイルランドのカラ競馬場で行われたG1ナショナルSを9馬身ぶっちぎって土付かずの5戦5勝、日本で言えばJRAに相当するBHA(英国競馬統括機構)ハンデキャッパーは彼を128ポンドにレーティングしています。これは怪物フランケルの126ポンドを超える今世紀最高の記録だそうです。「彼がフランケルより強い馬とは言えないが、ここまではフランケルの2歳時以上のことを成し遂げている。フランケルは3歳でレーティング136、4歳では140に達した。ピナトゥボにはフランケルのようになる成長の余地がまだある」とハンデキャッパー氏は新怪物の将来に熱い視線を注いでいます。

しかし話はこれで終わりません。新怪物を追う第2勢力にも、なかなかの素質馬が揃っているからです。明日土曜、ニューマーケット競馬場のG1ミドルパークSに、その有力勢が結集しています。ピナトゥボと同じシャマルダル産駒で馬主も同じゴドルフィンのアースライトは4戦4勝の無傷でフランス・ドーヴィルのG1モルニ賞を勝っています。イギリスの名門リチャード・ハノン厩舎は2頭出し。ともにシャマルダルと同じストームキャット系ジャイアンツコーズウェイの血を引くフットステップスインザサンド産駒のマムズティップルとスレットがその馬です。マムズは2戦2勝とキャリアは浅いのですが、前走が11馬身差の圧勝で「ここ数年で見たことのない勝ち方」と名匠ハノン師の舌を巻かせました。スレットは5戦3勝2着2回と相手なりに走る器用さが売り物です。祖母シーヴァは日本のノーザンファームの生産馬で、日本産馬としては史上初めて海外G1制覇を成し遂げています。

さらにジュドモントファームのシスキンもG1フェニックスSを含めて4戦4勝と底を見せていません。巨匠エイダン・オブライエン師はクールモア代表としてアメリカンファラオの初年度産駒モナークスオブエジプトに白羽の矢を立てました。オブライエン厩舎には成長力には定評のあるガリレオ産駒のアーモリーやモーグルといった素質馬も控えており、クラシック戦線に向けて戦いは白熱化するばかりです。ともあれ、明日のミドルパークSは見逃せない一戦になりそうです。

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