きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

モンスター現わる!

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凱旋門賞戦線にトンデモナイ怪物が出現しました。先週末、バーデンバーデン競馬場で行われたドイツ屈指の上格レースG1バーデン大賞2400mを実に14馬身という大差で逃げ切ったガイヤースがその馬です。ゴドルフィンの所属でチャーリー・アップルビー調教師とウィリアム・ビュィック騎手が育て上げました。父ドバウィ、母ナイタイムはガリレオの最初のクラシック馬という良血馬。以前から「ゴドルフィンの秘密兵器」と注目されていたのですが、遂に覚醒したようです。「チャーリーは以前から2400mでこその馬とこだわっていたが、本当にその通りだね。アブソリュート・モンスター(絶対的怪物)に成長した」とビュィック騎手は愛馬を絶賛します。

角居勝彦厩舎からキセキがクリストフ・スミヨン鞍上で出走するファア賞にも登録がありますが、ここはアップルビー師も「直行」の一択でしょうね。ヨーロッパの中長距離のレースは、じっくり溜めてラストの決め手と底力の勝負という流れがほとんどなのですが、今年の凱旋門賞は史上空前の強力先行馬が顔を揃えることになりそうです。ガイヤースもそうですが、3連覇を狙う大本命エネイブルも前走ヨークシャーオークスで主戦フランキー・デットーリ騎手が久々に逃げの手に出て、宿敵エイダン・オブライエン厩舎のペースメーカーにまったく仕事をさせないまま、先行して終いも切れる本来の競馬を取り戻しています。この形になれば強さは無双です。一戦毎に存在感を増している3歳馬ジャパンは、ダービーで後方から大外一気に追い込んで半馬身+ハナの3着に惜敗しましたが、ここ最近はオブライエン師とライアン・ムーア騎手のコンビが前めに付ける競馬を教え込んでいます。キセキもこのグループに割り込んで行くでしょうから、緩みのないスリリングなレースが見られそうです。デットーリ、ムーア、ビュィック、スミヨン、世界の頂上を争う名ジョッキーたちの駆け引きも見どころが満載です。

もちろん道中で死んだふりをしていて、直線の瞬発力勝負に賭ける馬も毎年必ず出てきます。今年は地元フランスダービー馬のソットサスなんかはその作戦でしょうか。斤量的に恩恵のある3歳馬でもあり、エネイブルのジョン・ゴスデン師も強く意識しているようです。将来の日本遺跡を熱望しているクリスチャン・デムーロ騎手が手綱を握ります。凱旋門賞7勝と他の追随を許さない名匠アンドレ・ファーブル師が送り込むヴァルトガイストもガネー賞で覚醒前夜のガイヤースを一蹴した実力馬です。凱旋門賞は昨年も4着と勝ち負けの競馬をしています。楽しみはあります。あと1カ月、最高の凱旋門賞が見られそうで、どんどんテンションが上がりますね。

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