きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 札幌2歳ステークス

先週は夏競馬最終戦が札幌・新潟・小倉の各競馬場で繰り広げられました。京雅さんからは、土曜日に札幌で行われた札幌2歳ステークスの和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

札幌2歳ステークス 京雅

晴らした後
遂にワンツー
ブラック来る
いま小柄だけれど
さあ捲ったの

隠れたメッセージは「はつぶいさ ごーるどの → 初Vさ ゴールドの」です。
晴()らした後(
遂()にワンツー(
ブ()ラック来る(
い()ま小柄だけれど(
さ()あ捲ったの(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
札幌の夏の締めくくりは札幌2歳ステークス。制したのは今年が産駒デビュー年となったゴールドシップ産駒のブラックホールでした。父ゴールドシップはこのレース2着でしたが、父の無念を晴らすゴールでした。ゴールドシップ産駒はこれで産駒初重賞制覇。さらにブラックホールのゴール後に2着で飛び込んできたサトノゴールドもゴールドシップ産駒というワンツーフィニッシュのおまけ付きでした。
レースは中団から後方に控えたブラックホールが3コーナー付近から捲って進出を開始。直線入り口では大外を回ったものの脚色は衰えずに強烈な末脚を見せつけました。
ブラックホールについて、管理する相沢調教師は「まだ小柄な馬」と語っていたようですが、思い起こせば祖父のステイゴールドも22年前に初勝利を挙げたときは、ブラックホールと同じ418キロの馬体重でした。偉大なる父と祖父の、根性と末脚、両方を受け継いだブラックホールの今後の活躍に目が離せません。


優勝馬のオーナー芹澤精一様は中山馬主協会会員で、重賞制覇は2009年フラワーカップ優勝のヴィーヴァヴォドカ以来、約10年ぶりの勝利でした。ヴィーヴァヴォドカは牝馬クラシック3冠すべてに出走しターフを賑わしてくれましたから、ブラックホールにも来年のクラシックでの活躍を期待してしまいます。
ご優勝、誠におめでとうございました。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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