きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

今世紀初のカップ三冠に挑戦

9月13日は、大庭 和弥 騎手、松田 大作 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

9月の声を聴くとヨーロッパ競馬はクライマックスを迎えます。今週はアイルランドでシーズン総決算のチャンピオンズシリーズが開催され、愛チャンピオンSでは日本馬ディアドラがG1連勝の野望に燃えています。昨年から絶対女王エネイブルに挑み続けて、厚い壁に跳ね返されて来たマジカルが女王不在、強敵クリスタルオーシャンが電撃引退した今度は千載一遇の勝機、同日ほぼ同時刻に行われるドンカスターのクラシック最終戦セントレジャーをセカンドジョッキーのドナカ・オブライエンに託して、主戦ライアン・ムーアが彼女今季2勝目のG1制覇に向かいます。ディアドラは8頭立ての5番人気ですが、マジカル以外とはさほど差を感じさせないメンバー。前走レコード勝ちしているように、すっかりヨーロッパ仕様に進化した馬体から繰り出すスピードが生きる馬場と展開なら、大仕事をやってのけても驚けません。マーフィー騎手のマジックに期待が高まります。

今夜はドンカスター競馬場で18ハロン≒3600mの超長距離レースG2ドンカスターCが行われます。1766年創設と250年以上の歴史に彩られた現存するレースでは世界最古と伝えられる伝統の一番です。遅れて1807年にアスコットゴールドCが創設され、さらに1812年のグッドウッドCの創設をもって「カップ三冠」が形づくられました。以降206年の間に三冠を達成した馬は6頭しかいません。今年は超長距離界の帝王ストラヴァリウスが、95年のダブルトリガー以来24年ぶり今世紀初の三冠制覇に挑戦します。この2年間は負け知らずの9連勝を続けており、指定された4レースに全勝すると100万ポンド≒1億3000万円余のボーナス賞金が贈られるステイヤーズミリオンを2年連続でゲットしました。エネイブルと同じジョン・ゴスデン調教師が管理、厩舎のというよりヨーロッパ競馬界が誇る二枚看板です。

イギリスに厩舎を構えるゴスデン師は、イェーツでアスコットゴールドC4連覇の金字塔を打ち立てたアイルランドのエイダン・オブライエン師ともども「サラブレッドの闇雲なスピード化は競馬を危うくする」という持論の持ち主でステイヤーの育成とその血統の維持発展に熱心なことでも知られます。こうした努力の甲斐もあって、最近ではグッドウッドCのG1昇格やステイヤーズミリオンに見られるように、超長距離レースが重要視されるようになり、人気も高まっているようです。このカテゴリーのG1レースは、日本では天皇賞春の一鞍だけですが、例えば中山の師走開催で行われるG2ステイヤーズSのG1昇格も視野に入れた価値向上に力が注がれても良いのではないでしょうか。

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