きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

遥かなる三冠の夢

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日本でも盛り上がったケンタッキーダービーの同日には、イギリスで2000ギニーが行われ、北半球の競馬はクラシック花盛りの季節が訪れました。ヨーロッパでは、もうダービー気分満載の日々が続いています。今年は有力馬が次々とリタイアして主役不在の混戦模様と伝えられてきましたが、ここへ来て続々と新星が登場しています。先日のG3チェスターヴァーズでは、とんでもない彗星が出現して、ダービー戦線をざわつかせています。それはサードラゴネットという馬でダービー前評判で伏兵視されていた素質馬ノルウェーを大差8馬身もちぎってスタンドを騒然とさせています。

父キャメロット、母スパローはガリレオの全妹の娘というクールモア自慢の良血馬です。配合的にはサドラーズウェルズ3X3というきついクロスが発生しますが、凱旋門賞連覇中のエネイブルが同じサドラーズウェルズ2X3と輪をかけたような強烈な近親交配馬ですから、ヨーロッパの人々はこうした血統の冒険にも意欲的に取り組むチャレンジャー精神が伝統になっているのでしょうか?

キャメロットといえば、デビューから無敗の5連勝で英2000ギニー、英愛ダービーを制覇して、ニジンスキー以来42年ぶりの三冠馬に挑んだ馬です。父がサドラーズウェルズ系モンジュー、母父がキングマンボの血統で、これはモンジュー自身と凱旋門賞で死闘を演じた日本調教馬エルコンドルパサーの逆配合です。エルコンドルパサーの激走はヨーロッパのホースマンに衝撃を与えたようで、サードラゴネットと同じくチェスターヴァーズ圧勝からダービーを勝ったルーラーオブザワールドや名マイラーとして鳴らしたヘンリーザナヴィゲーターなどがこの配合から誕生しています。果たしてサードラゴネットが厩舎の先輩ルーラーオブザワールドと同じ道を歩めるのか?さらに父キャメロットが後一歩で果たせなかった三冠の夢を実現できるのか?ヨーロッパクラシック戦線がにわかに盛り上がってきました。もう3週間ほどでダービー、今年も大いに楽しませてくれそうです。

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