きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 桜花賞

先週は桜花賞が行われました。桜咲く阪神競馬場を乙女たちが疾走する姿はとても美しい光景でした。そんな桜花賞の模様を京雅さんが歌にしました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

桜花賞 京雅
最速か
来るぞ万全
ラップ出せ
さすがに強い
君は桜冠さ

隠れたメッセージは「さくらさき かんせいさ → 桜咲き 歓声さ」です。
最()速か(
来()るぞ万全(
ラ()ップ出せ(
さ()すがに強い(
君()は桜冠さ(


<京雅さんからのメッセージ>
今年の桜花賞はダノンファンタジーとグランアレグリアの2強対決に注目が集まりましたが、見事優勝を果たしたのは朝日杯フューチュリティーステークスからぶっつけ本番で臨んだグランアレグリアでした。
道中、前半はスローペースでレースは展開したものの、後半は早いラップを刻みました。
優勝したグランアレグリアは、前半は逃げ馬を見ながらジッと脚を溜めていましたが、ペースが遅いとみるや、3コーナーからグランアレグリアとルメール騎手は進出開始。後半は前半のラップを2.7秒も上回る高速ラップを刻み万全の状態で、直線抜け出し後続に2.5馬身をつけ突き放しました。今年初戦とは思えない完璧な押し切り、さすがに強い圧巻の勝利。勝ち時計は1分32秒7(良)でレースレコードでした。
桜が咲き誇る阪神競馬場に、馬名のとおり大歓声(グランアレグリア=大歓声(スペイン語))が沸き起こり、桜のタイトルを手にしました。


ライバルのダノンファンタジー鞍上の川田将雅騎手は「勝ち馬が早く動く形になって追いかけざるを得なくなった分、最後は苦しくなってしまいました」とレース後にコメントを残していた通り、ペースを計算し、後半絶妙なラップでグランアレグリアを導いたルメール騎手の好騎乗が光った一戦でもありました。
さて、最後の1句で本来、「王冠」とすべきところを桜花賞での戴冠ということで「桜冠(おうかん)」と詠むのが、さすが京雅さんと感じさせます。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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