きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【52】レイデオロ
2016年12月25日 第33回ホープフルステークス

有馬記念が暮れの風物詩なら、このホープフルステークスは、その年を締めくくるJRA最後の大一番。前身は1984年に創設されたラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークスだ。
創設時の舞台となったのは阪神競馬場。この時代の優勝馬には、オークスを勝ったイソノルーブルがおり、牡馬・騸馬限定戦のラジオたんぱ3歳ステークスとなった1991年からは、ナリタタイシン、メジロブライト、アドマイヤベガ、アグネスタキオン、ヴァーミリアンらを輩出。2006年にラジオNIKKEI2歳ステークスと名称が変更(2000年からは牝馬も出走可能となる)になった後は、ロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、エピファネイア、ワンアンドオンリー……など、後のGIずらりと顔を揃えているように、登竜門として広く親しまれてきた。

このレースが、2歳中距離路線の頂点を決める一戦として中山にやってきたのは2014年。この年、中山のスタンドを沸かせたのは、2番人気のシャイニングレイ。さらにその翌年は、3番人気のハートレーが続き、GI昇格前最後の戦い、クリスマス決戦を制したのがこのレイデオロだ。

レース序盤を引っ張ったのは、ニシノアップルパイ。サングレーザーが先行集団の外目につけ、ゆったりとスタートを切った1番人気のレイデオロは後方3番手を進む。スタンドを埋めたファンが一気にヒートアップしたのは、直線半ばに設けられた中山名物の坂。ここで失速したサングレーザーを一気に捉えたレイデオロが、追撃を抑え込み、デビューから3戦負けなしで、ファンの期待に応えた。
「レイデオロは競馬が上手です。ダービー? 前から話していますが、2400mでも大丈夫だと思います」
レース後、報道陣の質問に答えたルメール騎手は満面の笑み。そして、この言葉から5ヶ月後……レイデオロとルメールとコンビは、言葉通り、日本ダービーを制してみせた。

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