きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【50】マジックタイム
2016年12月17日 第2回ターコイズステークス

12月14日は、松下 武士 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
勝者にはターコイズブルーの輝きを――2015年に新設された3歳以上の牝馬による重賞競走がこのターコイズステークスだ。優勝賞金は3600万円で第1回の優勝馬はシングウィズジョイ。そして見事、第2回を制したのが、当協会の会員である有限会社サンデーレーシングのマジックタイムだ。

父ハーツクライ。母はタイムウィルテル。2011年、ノーザンファームで誕生し、ノーザンファーム空港牧場で育成されるというエリートコースを歩んだマジックタイムだったが、その道程は決して楽なものではなかった。
――善戦すれども勝ち切れず。
GI阪神ジュベナイルフィリーズ6着。GIIIクイーンC2着。GIIフローラS6着……あと一歩が届かない。2年もの間、勝ち星から遠ざかっていた黒鹿毛のマジックタイムが復活の狼煙を上げたのは、15年10月25日に行われた1000万下の条件戦。さらに、翌16年4月にはダービー卿CTに勝って初重賞制覇を果たした。
――繁殖牝馬入りする前に2つ目の勲章を。
こんなマジックタイムが、ラストランの前に選んだのが、中山を舞台にしたターコイズステークスだった。
激しく前が入れ替わる展開となる中、56kgのハンディを背負ったマジックタイムは後方で待機。直線を向くと、中山の坂をものともせずに末脚爆発。さらに後方から飛んできたレッツゴードンキを最後まで抑えこみ、2つ目の勲章をその手に収めた。
「今日のマジックタイムは強かった。本当に強かった!」
JRA所属ジョッキーになって2年目、戸崎圭太騎手とリーデイング争いを繰り広げていたC.ルメール騎手が、目を丸くするほどの強さ。それはその名の由来となった“陽が沈んだ後、数分間だけ見ることの出来る美しさ”だったのかもしれない。
予定通り、繁殖牝馬となったマジックタイムは、今年4月に初仔(父はモーリス)を産んだ。

×