きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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7年前の大晦日を最後に廃止された高崎競馬場所属でタマルファイターというサラブレッドがいました。父キンググローリアス、母イズミケリーという血統です。2歳から8歳までタフに走り抜き63戦11勝の成績でしたが、特筆すべきは中央での2勝2着1回が含まれていることです。

デビューから2連勝、3戦目に中央に殴り込みをかけ、芝のオープン特別ダリア賞を鮮やかに差し切るや、返す刀で新潟3歳S(当時)でも2着に健闘して見せます。後にスプリングSを勝つクリールサイクロンが相手で、地方高崎の星とちょっと話題になったものです。

この馬の偉かったところは単なる早熟で終わらず、4歳時にも福島の吾妻小富士OPを勝っていることです。まったくの人気薄で単勝万馬券の大波乱を演出しました。高崎の人たちが鼻高々だったのは言うまでもありません。

さてタマルファイターの7歳下の全妹エフケーサクラは兄が引退した翌年、高崎競馬が廃止された04年生まれ、ちょっと痛々しいような数奇な運命を感じたりもします。どんな事情だったのか、結局未出走のまま終わっています。

この牝馬にエンドスウィープをかけて誕生したのが、明日のの園田・兵庫ジュニアC出走のシェアースマイルです。父と母父の双方からミスタープロスペクターの血を引き、4×4とダート短距離にはお誂え向きの配合です。

ここまで3戦3勝、叔父と同様の仕上がり早さを見せています。ここも良い仕事をしてくれるでしょう。でも、叔父が高崎の人たちの期待を背負って中央に参戦、姪は適地を求めて交流競走を渡り歩く、どこか時代の流れを感じさせる一族の物語です。

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