きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

北米リーディング争いの熾烈

ようこそいらっしゃいませ。

ヨーロッパでは昨年の年度代表馬で牡牝の別を超え絶対女王として君臨していたジョン・ゴスデン厩舎のエネイブルがシーズン当初から長い休養に入り、その間に同じゴスデン師が送り込んだフランケルの大物クラックスマン(ガネー賞、コロネーションCでG1連勝)、次に名匠サー・マイケル・スタウト師の秘蔵っ子ポエッツワード(プリンスオブウェールズS、キングジョージを連勝)、さらにゴスデン厩舎第3の矢ロアリングライオン(エクリプスS、インターナショナルS連勝)と次々とチャンピオンが入れ替わり、頂上決戦の凱旋門賞の行方も混沌としてきました。一方、大西洋を渡ったアメリカでも有力馬が激戦と脱落の繰り返しでリーディングサイアー争いが熾烈を極めています。

北米のリーディングサイアーは現地に繋養されている種牡馬の世界各地での実績をカウントしたものですが、日本での戦績は高額賞金がディスカウントされて47%だけ加算されます。シーズン当初は3年連続チャンピオンに輝いている大本命のタピットが出遅れ気味だったこともあり、幕開けの高額賞金世界一のペガサスワールドC一発で700万ドルを稼いだガンランナーを擁するキャンディライドの独走状態だったのですが、そのガンランナーが種牡馬入りして大砲を欠き、無敗の三冠馬ジャスティファイを出したスキャットダディが猛追します。しかし今度はジャスティファイが怪我で早々に引退すると、芝を主戦場とするキトゥンズジョイが急浮上、これも高額賞金のドバイシーマクラシックをホークビルが勝ち、前出のロアリングライオンの大ブレイクもあって、現在は逃げるキャンディライドを僅差でキトゥンズジョイが追い、ヨーロッパに分厚い布陣を敷くスキャットダディと三つ巴でトップ争いを演じています。最終決着は、1着賞金330万ドルのBCクラシック、同220万ドルのBCターフなど高額賞金レース目白押しのブリーダーズカップデーでつけられるのでしょうが、最後まで予断を許さない戦いが続きそうです。

さて当面の熾烈なリーディングサイアー争いと関係ないのが寂しいのですが、今週はサラトガでG1ウッドワードSが行われます。昨年ガンランナーがここで10馬身余りの大差で圧勝し、BCクラシックとペガサスワールドCの高額賞金ハンティングへ旅立った縁起の良いレースです。今年は5月のターフクラシック招待SでG1初勝利を挙げて以来、やや精彩を欠くハーツクライの日本産馬ヨシダですが、ウィリアム・モット調教師は心機一転ダート初挑戦を決断しました。母ヒルダズパッションは同じサラトガのダートでG1勝ちがあり、どんな競馬を見せてくれるか?楽しみです。

×