きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【37】レオアクティブ
2012年9月9日 第57回京成杯オータムハンデキャップ

9月14日は、加藤 征弘 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
「ひと夏を越して、気性的に燃えるところがなくなり、丸くなってきました。気性面でもゆっくりと歩けるようになり、折り合い面でも最初の頃に比べると気をつかうところがなくなってきました。まだ、幼いところや緩いところもありますが、このまま順調に行ってほしいと思います」
――中山競馬場の検量室前。勝利ジョッキーインタビューに応える横山典弘騎手の顔に静かな笑みが広がっていく。その胸の裡は、推し量ることしか出来ないが、「よく、頑張った!」というパートナーへの称賛と同時に、気性難を解消するために、毎日、根気よく付き合って来た、スタッフへの感謝の気持があったのかもしれない。

馬っ気を出しながら走り、それでも、最速の上がりで3着に食い込んだデビュー戦。連闘で掴んだアドマイヤムーン産駒の初勝利。後方待機作が見事にはまった京王杯2歳ステークス。直線一気も届かずに終わった朝日杯フューチュリティステークス……強さと気難しさが同居し、どっちの面が出るかは、競馬に行ってみなければわからないというレオアクティブ。その脆さゆえに、絶対的な信頼はおけないが、それでも、レースに行ったら馬を信じるしかない。そして――最後まで信じて乗り、その結果、掴みとったのが、この京成杯オータムハンデキャップの勝利だった。

レースは、ゼロスが好スタートから先頭を引っ張り、前半からハイペースの展開に。折り合いに専念したレオアクティブは後方待機。さらにペースが上がった中盤でも、インをキープしたレオアクティブは、最後の直線でエンジン全開! ライバルたちが外に持ち出すのをしっかりと捉えながら、経済コースのインを強襲。坂をのぼりきると怒涛の追い込みで、栄光のゴールに駆け込んだ。
掲示板に灯ったタイムは、安田記念でストロングリターンが記録した1分31秒3を0.6秒も上回る驚異の1分30秒7――。
そして、レオアクティブが中山で叩きだしこの記録は、いまも芝1600mの日本レコードとして記されている。

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