きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

王者不在のヨーロッパ戦国時代

8月23日は、千田輝彦 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

今年の欧州チャンピオン戦線は、猫の目のように覇者交代を繰り返してきました。シーズン当初は昨年の英チャンピオンSを7馬身差で圧勝したフランケル産駒クラックスマンが、ガネー賞、コロネーションCとG1を連勝して王座は安泰かと思われましたが、プリンスオブウェールズSでチャンピオンS2着だったポエッツワードが逆襲。眼下の宿敵クラックスマンに雪辱して続くキングジョージも連勝して暫定チャンピオンの座を奪取しました。これで勢力図が落ち着くように見えたのですが、昨夜のヨーク競馬場で行われたインターナショナルSは、新王者ポエッツワードがイキの良い3歳勢を迎え撃つ一戦となりました。ディープインパクトの英2000ギニー馬サクソンウォリアー、前走エクリプスSで世代No.1を主張したロアリングライン、父フランケル同様に無敗でセントジェームズパレスSを制したウイズアウトパロール、愛ダービーの勝利で台頭著しいラトローブと伸びしろタップリの若駒が揃い、さらにドバイワールドCのサンダースノー、ドバイターフのベンバトルとゴドルフィンの刺客も参戦して豪華なリアル・チャンピオン決定戦となりました。

レースは直線で抜け出したロアリングラインが追いすがるポエッツワードを突き放す完勝劇で王者交代を印象づけました。斜行癖など乗り難しい馬ですが末のキレは一級品で、狙った獲物は逃がさないワイルドな風情に満ちあふれています。父キトゥンズジョイはアメリカの芝レースを主戦場に北米リーディングサイアーの実績もある大物ですが、最近はドバイシーマクラシックのホークビルなどヨーロッパにも活躍の場を広げている注目株です。サクソンウォリアーは後方から伸び切れず最後は最低人気のサンダーリングブルーにも差されて4着。惨敗でした。常に人気を背負って連闘を含むキツいローテーションに耐えてきた影響でしょうか?いずれにしろ欧州戦線の混沌とした王座争いは最後の最後まで続くのでしょうね。凱旋門賞は有力どころどの馬にもチャンスがある大乱戦になるのでしょうか?

さて一夜明けた今夜はヨークシャーオークスの発走です。英愛仏三ヶ国オークス馬が揃い踏み!イギリスのフォーエヴァートゥゲザーは初勝利がクラシックというシンデレラホース、アイルランドのシーオブクラスは4月デビューと遅咲きでしたが秘める素質は底が知れません。フランスのローレンスは際どい戦いでも競り勝つ勝負強さが天下一品、いずれ劣らぬモンスター級の豪華メンバーです。果たして真の女王は誕生するのでしょうか?ヨークの熱い夏はまだ終わりません。

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