きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ゆかりの名馬を訪ねて~サクセスブロッケン~

ようこそいらっしゃいませ。

中山馬主協会および中山競馬場にゆかりの名馬をご紹介する本企画。
今週の名馬は、競走馬時代は中山馬主協会会員の髙嶋 哲 様の所有馬でフェブラリーステークス(GI)を制したサクセスブロッケンをご紹介します。ご存知の方も多いかと思いますが、現在は東京競馬場の誘導馬として活躍しています。

<サクセスブロッケン概略>
通算成績:19戦7勝
重賞勝鞍:ジャパンダートダービー(交流GI、2008)、フェブラリーステークス(GI、2009)、東京大賞典(交流GI、2009)
現在は、東京競馬場の誘導馬として活躍。


東京競馬場でサクセスブロッケンの管理をご担当されている葛原さんにお話を伺いました。
誘導の出番をジッと待つサクセスブロッケン
―――GI競走3勝の名馬が誘導馬になるということで、ニュースにも取り上げられていましたが、当時のサクセスブロッケンはどのような様子でしたか?
葛原:2011年の2月引退して、東京競馬場の誘導馬としての新たな道を歩み始めましたが、当時は私が担当ではなかったのですが、前担当者の話ではヤンチャで、気性も荒かったと聞いています。ダート界で頂点に立った馬なので、まだまだ現役馬の血が騒いだのかもしれませんね(笑)。

―――現役を引退してだいぶ経った現在では落ち着いているのでしょうか?
葛原:馬房の中では大人しいですが、あまり知らない人が近付くと・・・(苦笑い)。まず、口が先に出るタイプで、噛みついてきます。なので、ブロッケンの馬房には「噛むから注意!」という張り紙もしてあります(笑)。

―――葛原さんも馴れるまでは大変でしたか?
葛原:そうですね、担当して1年近くしてようやく、気を許してもらえるようになってきましたね。初めは何度も噛まれそうになりました。

―――サクセスブロッケンの機嫌が良い時などはありますか?
葛原:やっぱりニンジンなどをもらうときは喜びますね、あとは顔を拭かれるのも好きみたいです。反対に、要注意なのは、お腹の下や股の辺りを触ることですね。 機嫌が悪いと歯を剥き出しにして威嚇してきます(笑)。

―――現在は誘導馬として活躍しているとのことですが、誘導馬としてのサクセスブロッケンはいかがですか?
葛原:訓練当初は他の誘導馬と同様に、隊列の後ろからの誘導を行うのですが、ブロッケンの場合、自分の前を他馬が歩くのが嫌なのか、前での誘導の方が得意ですね。GIを取るだけの馬なので、前に出られたくないのかもしれませんね(笑)。
パドックで前誘導するサクセスブロッケン
―――サクセスブロッケンの誘導馬として優れているところはありますか?
葛原:本馬場に出ても堂々としてますね、ゆったり歩幅も大きく歩いてくれるので、歩いている姿はとてもかっこよく見えます。

―――普段、トレーニングを行うときなどに気をつけている点はありますか?
葛原:ファンの方にも有名な話かもしれませんが、生まれつき脚の形が真っ直ぐではなかったので、どうしても疲れがたまりやすくなると獣医の方からも言われます。誘導馬のみならず、馬術競技にも出場しているため、障害を飛越することもありますが、脚の状態は注意深く観察し、1日2回のアイシングはかかせません。

―――最後に、今後のサクセスブロッケンについてお聞かせください。
葛原:フェブラリーステークス優勝馬ということで、光栄なことに毎年同レースの誘導を担当してくれています。ファンの方からは日本ダービーの誘導も、との声をよくいただきますが、将来的にはそういった大レースも担当できるように訓練中です。現在は、誘導馬の他に、乗馬、馬術競技と多彩な才能を見せてくれる馬ですので、このまま活躍しながらも無事に日々を過ごして欲しいです。

また競走馬時代のオーナー髙嶋哲様にもお話を伺いました。
「新馬戦を大差勝ちしたのは今でも鮮明に覚えています。脚の形などから調教師の先生も走らせるまでわからない部分はあったようですが、こうしてGIを取り、皆様から愛される馬になってくれたことを嬉しく感じております。ブロッケンの子供も見てみたかったな、という気持ちもありましたが、GIを優勝した東京競馬場で、ファンの皆様にも見ていただける誘導馬として活躍している姿をみると東京競馬場に預けて良かったと感じています」

★誘導馬の一日★
平日は、誘導馬として必要な“待つ”訓練や横に馬がいても気にしないようにトレーニングをするほか、開催日が近づくと本馬場やパドックで誘導や周回の練習を行います。
開催日は、東京競馬場では主に1~6Rと6~12Rに分かれてレースを担当しています。また1R前には、お客様をお出迎えするため1コーナー付近で待機している時もあり、サクセスブロッケンを間近で見られる可能性もございます。

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