きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

直線競馬の聖地

7月26日は、内田博幸 騎手、宗像義忠 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

日本では最下級の500万下条件の身だったジェニアルが大手柄を立てたG3メシドール賞が行われたメゾンラフィット競馬場は、直線競馬が珍しくないヨーロッパにあっても随一を誇る「メッカ」です。メシドール賞も直線1600mのレースでしたが、この競馬場では2000mの直線競馬も施行されています。日本で言えば、1000mのアイビスサマーダッシュから1600mの安田記念、2000mの天皇賞秋まで、すべて直線だけを舞台に行われる感覚です。ジェニアルの誰も想像もしなかった大金星、実はこの直線競馬ということも少なからず影響していたのではないかと思っています。

サラブレッドの中にはカーブを巧みに回れない不器用なタイプもいるようです。かつてフランスとイギリスで直線競馬のG1を2勝した海外遠征の先駆者アグネスワールドは、最低でもワンターン、カーブを2度周回する日本では遂にG1未勝利に終わっています。こういう馬のために、適切な舞台を求めて海を渡ることも意味があると考えられます。凱旋門賞ばかりが海外挑戦の目標ではないだろうとも思います。ジェニアルは内枠発走にも恵まれ、ラチを頼りに一貫して安心して走れたことも好走の一因でしょうか?でも、昨年のメシドール賞の覇者で重賞5勝のターレーフ、重賞3勝のジミーツータイムズなど相手が骨っぽかったのも事実です。いくら褒めても褒め過ぎにはならないでしょう。

馬主さんの決断も立派でした。その毅然たるリーダーシップに寄り添うように忠実に馬を仕上げたスタッフの仕事ぶりも見事でした。武豊騎手の豊富で深い経験がモノを言ったのも間違いありません。松永幹夫調教師は開業4年目に早々とドバイ遠征を実現させ、レッドディザイアがG2マクトゥームチャレンジラウンド3(翌年G1昇格)で直線一気の豪脚を爆発させ世界をアッと言わせたのは忘れられません。ラニはUAEダービーを制しアメリカ三冠は皆勤の快挙!尻上がりに調子を上げてベルモントSは3着とメダル圏内に奮闘しています。若くして国際経験が豊富な松永師、これで海外重賞は3勝目となりました。次はドーヴィル競馬場でのG1挑戦へと舞台が変わりますが、1300mのモーリスドゲスト賞、1600mのジャックルマロワ賞、いずれにしろ得意の直線競馬であることに変わりはありません。相手は一段と強くなりますが、悔いのないレースをしてくれたらと願います。

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