きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ゆかりの名馬を訪ねて~シェーンヴァルト~

6月30日は、山内研二 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

中山馬主協会および中山競馬場にゆかりの名馬をご紹介する本企画。
今週の名馬は、競走馬時代は中山馬主協会会員の(有)サンデーレーシング様の所有馬で、現在は山口県にある乗馬クラブ クレイン多々良で馬術競技の乗馬として活躍するシェーンヴァルトをご紹介します。

<シェーンヴァルト概略>
通算成績:36戦2勝
重賞勝鞍:デイリー杯2歳ステークス(GⅡ、2008)

クレイン多々良でシェーンヴァルトの管理をご担当されている重枝さんにお話を伺いました。
国体で優勝したシェーンヴァルトと重枝さん
―――クレイン多々良にシェーンヴァルトがやってきてから、重枝さんはずっとシェーンヴァルトをご担当されているのですか?
重枝:シェーン(シェーンヴァルトの愛称)は競走馬引退後、同系列の乗馬クラブ クレイン東京で乗馬として新たな道を歩み始め、2015年12月頃にクレイン多々良にやってきました。その時からずっと、私が担当させていただいています。

―――シェーンヴァルトとの出逢いはどのような感じでしたか?
重枝:当初、シェーンは人に対して、怖がる面があり、仲良くなるには少し時間がかかりました。触ろうとすると、首をひねって嫌がられたり。(笑)

―――最近のシェーンヴァルトとの関係はいかがですか?
重枝:シェーンの厩舎の前を通る時に黒砂糖などをあげたりしてコミュニケーションを深めていき、今では自分から顔を出してくれたりと、かなり仲良くなれたと思います。シェーンは良く人を見ているので、“この人はエサをくれる”、“この人はくれない”ということも分かっていると思いますよ。(笑)

障害を飛越するシェーンヴァルト
―――現在は馬術競技をメインに活躍をしているシェーンヴァルトですが、日々の訓練や競技での成績はいかがですか。
重枝:競走馬出身ということもあり、後ろ足の蹴る力がすごく、障害飛越が上手です。現役時代に、障害レースでの経験もあったからか、障害に対する恐怖心も少ないように感じます。競技成績では2017年のえひめ国体 成年女子二段階障害飛越競技部門に私とともに出場し、優勝しました。

―――国体で優勝とはすごいですね。担当の重枝さんと2人3脚で歩んできた結果ですね。
重枝:クレイン東京から来たときは、馬術競技の乗馬としてはまだまだ課題が多かったのですが、課題が多かったからこそ、基礎からしっかりと教えることができたので、その点で人馬のコミュニケーションを深めることができたのかなぁ、と振り返ってみると感じます。

―――やはり人馬一体のパフォーマンスが馬術競技では必要不可欠ということでしょうか?
重枝:競技では、“ここのバーは絶対に落としちゃいけない”という飛越や“もう少しスピードを上げないと”という場面があるので、そういった場面で人が正確かつ素早く指示をし、馬がそれに応える、という点で普段から一緒に過ごしてきたシェーンだから力が発揮できたと思います。

リラックスする普段のシェーンヴァルト
―――最後になりますが、今後のシェーンヴァルトについてお聞かせください。
重枝:今年も国体の出場と活躍を目指して日々、トレーニングをしています。クレイン多々良のジュニア会員で国体を目指しているジュニアも騎乗しており、練習しています。国体の種目としては、成年女子の部・少年の部に出場を予定しています。(予選を通過しなければなりませんが…)そして、怪我や病気なくシェーンが長く活躍できるように、私もサポートできればと思っております。

★馬術競技乗馬の一日★
競技以外の日は、障害飛越など競技に必要な訓練を乗馬クラブの馬場で行います。1頭での訓練に加えて、他の馬とともに馬場で訓練することで、他馬が近くに来ても大丈夫な精神力を養う練習も行います。
競技は各乗馬クラブ内で行われる大会の他、国体のような全国規模の競技まで様々。国体の場合、各地方ブロックや都道府県で予選が行われ、成績上位の選手・馬が国体本戦に出場する。

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