きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【26】ディアドラ
2017年9月9日 第2回紫苑ステークス

6月29日は、藤原英昭 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
いよいよ今週から、夏競馬に突入! 今年は、例年より一足早くやってきた熱波に、馬も、人も、バテ気味だが、この夏を越えると、次は本格的な秋シーズンがやってくる。
その到来を告げるのが――秋に茎頂が分枝し、淡い紫色の花をつける“紫苑”からその名を付けられた、紫苑ステークスだ。
2016年にGIIIに格上げされ、今年が第3回となるこのレースは、3着までに優先出走権が与えられる秋華賞のトライアルとなっているが、昨年、このレースを制し、一気に頂点まで駆け上がったのが……ケルト神話に登場するディアドラだった。

アネモネステークス(3番人気2着)以来、約半年ぶり、2度目となる中山の舞台にその姿を現したディアドラは、岩田康誠騎手とのコンビで16番枠からゆっくりとスタートすると、道中は無理せず、後方の外目を追走。4角では大外をぶん回すというやや強引とも言える競馬で、グングンと前に迫っていく。
前を走るのは、田中勝春騎手にエスコートされ、きっちりと経済コースを回ってきたカリビアンゴールド……。ゴール前は2頭の一騎打ちとなった。
――このまま、粘ってくれ!
田中勝春騎手の想いが馬に伝播する。
――もうひと息! 差し切れ!!
岩田康誠騎手の叫びが中山のターフにこだまする。
結果は……ハナ差でディアドラの勝利。
「コーナー2つの競馬ばかりだったので、コーナー4つを経験させて秋華賞に向かいたかった。夏を越して体もひと回り大きくなったし、この勝利で自信を持って秋華賞に向かうことができます」
レース後、笑顔で語った橋田満調教師の胸の内には、このときすでに、秋華賞の勝利が見えていたのかもしれない。
父ハービンジャー 母ライツェント 母父スペシャルウィーク
今年のドバイターフで3着。休養をはさみ、7月29日に行われるGIIIクイーンステークスで、再始動する予定のディアドラ。
彼女の挑戦は、まだ、終わらない……。

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