きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【18】ホワイトストーン
1993年1月24日 第34回アメリカジョッキークラブカップ

5月4日は、平沢健治 騎手、尾形和幸 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
芦毛の馬体。
荒ぶる魂――
タマモクロスが築き上げた“芦毛伝説”を継承すべく誕生したホワイトストーンは、記録ではなく記憶で多くのファンを魅了した。
“ナカノコール”が沸き起こった1990年の日本ダービーで3着。菊花賞2着。ジャパンカップ4着。有馬記念3着。年明け初戦のGII産経大阪杯で優勝した後は、またも白星から遠ざかったが、それでもファンは、後肢で立ち上がる姿に声援を送った。

生涯成績は32戦4勝。
そしてその最後の勝利となったのが、中山を舞台にしたGII戦……AJCC、AJC杯、アメリカAJCCなどと表記される、アメリカッキージョッキークラブカップだった。
鞍上は柴田政人。
ゲートが開いた瞬間、1枠1番からホワイトストーンが飛び出すと、スタンドからはどよめきが起こる。
――終いに鋭い脚を使うホワイトストーンがまさかの逃げ!?
ファンの戸惑いなど、どこ吹く風で、小雪舞う中山のコーナーをホワイトストーンが先頭で駆け抜ける。
そして――――――。
最終コーナーでギアチェンジをしたホワイトストーンが、中山の坂で、後続を突き放した。
「そのまま!」
「そのまま!!」
ファンの後押しを受けたホワイトストーンが、さらに加速。遂にその手に勝利を掴んだ。
ゴール後、愛馬の首をぽーんと叩いた柴田政人を待っていたのは、この日を待ち続けていたファンの拍手と歓声。いつまでも鳴り止むことのない熱い思いが、中山のスタンドを包み込む。
柴田政人とホワイトストーン――。
絵になるコンビのこれが最後の勝利だった。

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