きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

リステッドレース考察【前】

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ご案内のように、来年から日本でもリステッドレースが導入されることになりました。現在行われているオープン特別の約半数にあたる65レースが新たにリステッドレースとして格付けされます。「準重賞」と訳されることが多いのですが、そもそも格付けは、セリ市場の公正化を促す情報の基準標準化を目的に考案された経緯があります。セリ名簿の表示において、G1・G2・G3などのグレードレース並びにリステッドレースの実績はブラックタイプ(太字)で記載することが認められます。グレードレースと同等の扱いであり、その意味では「グレード外の重賞」という方が実態に近いのかもしれません。

では、なぜG4とかの位置付けではなくリステッドレースなのか?グレードレース昇格には、レースレーティングのハードルが高いこともありますが、一番の難関は国際開放条件です。お隣の香港では香港ダービーなどクラシックレースは賞金はG1並みなのに格付けはすべてリステッド。香港調教馬以外に出走が認められない閉鎖性がネックになっているようです。日本では東京大賞典以外の国際競走認定のない交流重賞もグレードの代わりにJPN1とかJPN2などと表記されます。国際グレードに対する、いわゆるローカルグレードで、厳密に言えばリステッドのポジションに落ち着きそうです。反面、ロイヤルアスコットに代表される国際開放されたグレードレースに劣らない伝統と格式を誇るリステッドもあり、個々の馬にとって最適条件のレースが選択できる番組の多様性を提供しています。

最大の背景は、来年から実施される降級制度廃止にありそうです。ご存じのように、夏季番組から4歳馬は収得賞金が半減され、ほとんどの馬が降級します。これがなくなるのですから、最上級のオープンクラスは引退による自然減以外は増え続ける一方。調教施設や技術の向上、また医療の進歩で競走馬寿命が延びる傾向もそれに拍車をかけます。オープン馬ということで一括りにするのではなく、個々の実力に応じた競走カテゴリーの細分化が求められます。ということで、降級制度廃止とリステッドレース導入がセットで進められようとしています。降級制度は、4歳降級馬か?伸び盛りのの3歳馬か?はたまた経験豊富なベテランの味か?夏競馬からの馬券推理の楽しみの一つなのですが、ファンにとって分かりづらいのも確かです。しかし馬主さんには大変な問題でしょう。明日はそのあたりを考えてみたいと思います。

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